くちなしの色

千葉の客先にプレゼンに行った帰り、銀座三越に寄り道をすることにした。
三重の物産展で、友人の藍さんが草木染の作品を出品されているのを思い出したからだ。


彼女と出会ったのは8年前... 鳥羽の水処理施設で2億円の案件を受注して
工事の工程管理から、元請け会社との交渉、さらに役所との交渉を任され、
二見の海岸沿いにあるホテルを定宿にして、現場に通っていた。
旧い宿場町の街道を歩いていたときに
昔旅館だった建物で、機織りをしていた彼女に声をかけられて店に入った。
職人の仕事には、とても興味があったので、現場が終わると彼女の店に寄っては、仕事を見せてもらっていた。
草木染のこと、機織りのこと...様々なことを教えていただいた。
彼女は店を始めたばかりで、人通りの少ない宿場町には、小学生の修学旅行が来るくらいで
いいものを作っても、商売にならないような状態だった。


その後、勤めていた会社の経営が破綻し、職を失って三重からは離れてしまったが、
彼女が、材料を探しに東京に来られた時や、デパート等の出展の際に、何度かお会いした。
最後にお会いしたのは、一昨年の春、出張が入って二見に立ち寄った時のこと
(その時の日記 → http://d.hatena.ne.jp/mui_caliente/20130510  お店の写真も2枚ほど...三重はいいところです)


その後、様々な活動を通して人脈を広げられ
外に出る頻度も増えたようで、銀座三越に出展できるほどになったのは、素晴らしいことだ。

「藍織成」のコーナーには、鮮やかな色に染め上がったシルクやコットン等のストールが
ずらりと並んでいた。
三重の時も、店にはしょっちゅう行くのに、買えるものがなく
本当は、300円だったコーヒーをただでご馳走になりながら、延々と居座っていたので
売上には全く貢献していなかった。
折角東京に来られたのだから、ひとつくらいは買おうと思って、物色...
藍はもとより、クチナシ・茜・ヨモギ...等々 それを混ぜ合わせたりして、すごい種類
その中で、これは...という色を見つけた。


二見にある重要指定文化財になっている賓日館という旅館の庭にあるクチナシで染めたうえに
藍の色を重ねたというストールは、とても優しい色だった。

こんな色を身に着けることはないのだけれど
仕事の格好でも、なんとなく様になっているかな...

こういうものは、ネットで売れるものではないので、手に取らなければ良さがわからないが
自分がしていれば、欲しいという人も出てくるかもしれない。
特に男性にも見てほしいな...




友人のAさんが作っている、ANGLAISE の麻のシャツと合わせてみました。