四角い煉瓦積みの煙突が 梅雨の合間の白藍色の空を見上げていた。常滑には夕陽を観に何度か来たことがあったが 泊まったのは初めてだったから、朝の散歩に出た。 海を見おろす西向きの斜面にはりめぐらされた迷路のような 街のいたるところに積み上げられ、…
父親に手を引かれた少女の少し縮れた髪が風になびいて 初夏の陽射しのなかで金色に波打っていた。 戸隠山から吹き下ろすその風は鏡池に細波を立て 尖った稜線は、ざわめく水面の上で滲んで空に溶けてゆく。 明日からの富山出張を一日前倒しして 新幹線を途中…
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