安乗灯台の旭日...松阪牛のゆうべ

久しぶりの三重...
伊勢市で車を借りて、最初に寄ったのが
二見の「藍織成」というお店
2006年の11月から、鳥羽のプラント工事で
大型の装置をいくつも設置する仕事があり
二見のホテルに半年ほど滞在していた。



夫婦岩につながる古い参道沿いに、大きな木造の旅館が立ち並ぶ、風情のある街...
その中で、廃業した旧い旅館の玄関先を使って、染物や手織りの生地や服・小物を売る店があった。
初めて行った日、早めに仕事が終わって街道を散歩していると
お店の中から「こんにちは」と声をかけられて振り向くと
この店を営む藍さんが機織りをしておられた。
OLだった彼女は、染物に惹かれて仕事を辞め、修行をして店を開いたばかりだった。
その後も、仕事が早く終わったり、休みがとれたりすると店に通い
いろいろな話をしているうちに仲良くなった。
向かいにお住まいの大家さんとも挨拶を交わすようになった。
が...昨日書いたとおり...ここに来ることもできなくなってしまった。

 

三重に来たときには立ち寄り、彼女が東京に仕事で来るときにお会いしたりしていたが
最近は会う機会もなく...
デパートでの出展などがあると店を閉めているので、会えるかどうかわからなかったが
前日に連絡をすると、たまたま店におられるとのこと...
今回行く客先に近かったので、訪問前に立ち寄った。

お店はずいぶん様変わりして、商品も増えた。
最近は、織物を織る時間が足りずに染物を中心にしているとのこと。

この写真の上段は、藍以外ほとんどが茜...少しずつ染め方を変えてバリエーションをつけたもの。
下段の草木はいくつもあるが、最近、バラ園の依頼で染めたバラの花で染めたものもあった。
前回、東京の出展で文庫本のブックカバーを買ったが、友人にあげてしまったので
今回は、自分のブックカバーを購入。
藍のほかに、赤い糸は茜 黄色い糸は玉ねぎで染めた糸


この後同僚と合流するし、夜はかめ吉夫婦と飲むことになっていたので
今日(10日)仕事が終わって同僚と別れた後、食事をしようということに...

・・・・・
朝、昨日の酔いもまださめきらない早朝4時半に起床
海の旭日を見るために車に飛び乗って、安乗(あのり)灯台へ...
以前は、よく来ていたが、次はいつこれるかわからないので...

 

日の出時刻は5:30だったが、4:30にはもう東の空が色づきはじめている。
車を飛ばして10分...
灯台に着いたときには、東の空が真っ赤に染まっていた。

絶壁の上の柵を越えて、一番長めの良い場所に立ち
潮騒の音しか聞こえない崖の上で、強い海風に吹かれながら日の出を待つ。


やがて、水平線にかかった靄を通して、影絵のようにくっきりした形の太陽が昇りはじめる。
雲の色を映して朱く染まっていた海に一筋の光の道が通り、きらきらと輝く。




 

海からのぼる太陽を、三重の各地で何度も何度も観てきたけれど
同じ場所でも昇る位置が違い、雲の様で様々に変化していく。
それにしても、なんと勇気の湧く光景だろう。
三重にいた頃の日々は、この光景とともに始まった。
だから、きつい仕事も楽しく乗り越えることができたのかもしれない。
過去の日記には「今日も幸せな一日が始まる」という一行が、何度も出てくる。

海が光ったり、薔薇が咲いたりするのは、誰の眼にも一応美しい、
だが、人間と生まれてそんな事が、一番気にかかるとは、一体どうした事なのか。
                      小林秀雄『私の人生観』


誰もいない岬で、しばらく朝の海を眺めてから、ホテルに戻り
同僚を拾って、津まで走り三重大学に行って、某教授の研究室に寄って商品の説明をし
再び鵜方に戻って「かめ吉」のうどんをいただく(前日の日記)
それでも、午後のアポイントまで時間が余っていたので、
海沿いの道を西に走り、浜島から五ヶ所湾を経由して玉城までのドライブ。

 

半導体メーカーでの商談は、富山からの紹介だったので順調に進み
技術的な課題を預かって終了。
伊勢市駅まで同僚を送って、車を返す。

 

その後、藍さんと待ち合わせて松阪へ...
松阪にお住まいの彼女がお奨めの焼肉屋へ...
以前、牛銀という松阪では有名なすき焼き屋の営む洋食レストランには行ったことがあるが
松阪牛の焼肉をいただくのは初めて。

 

「味園」という老舗の焼肉屋は、去年火事になって立て替えたというきれいなお店
http://yakinikumisono.com/index.html
藍さんのお奨めをいくつもオーダー..
七輪で焼くお肉は絶品だ。
塩タン・カルビ・ホルモン・上ミノ...
手早く焼いてくれる焼き肉を、何皿も平らげる。



(食べるのに夢中で、写真はこれだけ...)

 

一人で染物から機織りまでして、店を営みながら、
人の少ない二見の店舗だけでなく百貨店などへの出展をしたり
職人仲間での交流をしながら、大変な想いをして6年走ってきた
様々なご苦労の話を伺う。

 

お腹いっぱい肉を食べて、幸せな気分で松阪駅を後にした。

 

藍さん
これからも、素敵な作品を織り続けてください。
お仕事がうまくいきますように...
ありがとうございました。

 

おまけ ↓↓↓
安乗灯台のアルバム