2018-09-01から1ヶ月間の記事一覧

曼珠沙華と中川幸夫と

黄金色に染まりはじめた田園に 曼珠沙華の花が咲いていた。 狂おしく燃えた夏の恋の残像のように 身を捩りながらが燃える花びら。 天に向かってまっすぐに伸びる蕊は 彼女の祈りか... 残暑の眩しい陽射しの中でぱっと燃えて あっという間に萎れて堕ちて行く…

川のように...

その川にかかる橋を渡るとき 視界に入ったその色に驚いて慌てて車を停めた。 なんという色だろう... まるで顔料を流したような鮮やかなターコイズブルー川沿いの木立に車を置いて 岩を伝って川岸に降りていった。大きな岩のうえに立って川上の方を見ると 大…

常願寺川の夕暮れ

夕陽からこぼれ落ちた光の道が、 波に揺られるごとに色を増しながら海に拡がっていった。赤銅色に染まりゆく波のうえに影絵のようなサーフィンが三艘、 木の葉のようにゆらゆらと揺れていた。 昼間のぎらつく太陽は、真夏のそれと変わらなかったのに 海辺の…

叔父に会いに...

「向うに弥彦山が見えるだろ? 弥彦山はいい山だ...」 そう言ったまま征三郎叔父はまた沈黙した。 ベッドから起き上がれない叔父の姿を見るのがちょっとせつなくて 僕も黙って叔父からは見えない窓の外を見ていた。 黄金色に染まりはじめた田園の向うに、 美…