すこしだけゆるんだ寒気の底に、熟れた蝋梅の香りがたゆとうていた。くすんでしまった蝋梅の花を囲むように植えられた梅の木の細い枝先で小さな蕾がぽつりぽつりとほころびはじめていた。花びらも動かぬほどの微かな空気の揺らぎにしたがってすでに傾きはじ…
引用をストックしました
引用するにはまずログインしてください
引用をストックできませんでした。再度お試しください
限定公開記事のため引用できません。