吹きガラス職人

二日酔いで朝を迎えた。
顔も体も、なんとなく火照っている。
客先のアポイントは午後だったので
午前中は、懐かしい志摩半島の海を
めぐるドライブへ...


まずは、志摩の海を一望にできる
横山展望台に昇り...
リアス式海岸の静かな海を眺めてから、志摩半島を目指す。

外海側の細い道を走って、太平洋を望み
先端の御座白浜から英虞湾沿いに戻るコース。
外海の阿津里浜は外海だが、今日は波もなく穏やか...
夏は海水浴客もいるが、今朝は人影もなくプライベートビーチのようなだ。
ひとりで浜に降りて、靴を脱いでパンツをたくし上げ、波打ち際を歩く。
なんと透明度の高い海だろう。
足を洗う波が心地よい。



しばらく波と戯れてから、帰り道にともやま展望台に寄り...
(ここは、夕陽が空と海を真っ赤に染めると圧巻)

鵜方に戻って「かめ吉」に寄り、遅めの朝食。
二日酔いには、釜揚げうどんがよいと言われ
おまけに天ぷらをつけてもらって... 美味しくいただく。


かめ吉夫婦に別れを告げ、もう一軒の目的地二見へ...
染物&機織り職人の藍さんは、目下展示会中なので、
吹きガラス「でく工房」へ...2度目の訪問。
今回は一人で訪問だったので、ご主人のNさんとゆっくり話しができた。




吹きガラス作りのご苦労から作り方の工程まで教えていただき
ついには、「吹いてみますか?」と言われ吹いてみると、
風船のようにいびつに膨らんで破裂した。
Nさんがこともなげに形を作っていく技の凄さが
改めて凄いことなのだと実感する。


そして、職人としての正直な悩みを職人でもない自分に吐露される。
その悩みは、ムイカリエンテがまだ19歳の頃
一人で訪れた萩焼の窯元で、その主がムイカリエンテに語ったことと同じだった。
芸術家は、自分の気に入ったものだけを丹精こめて一つだけ作ればよい。
しかし、職人は違う。同じものをいくつも造らねばならない。
人の生活の場によりそうものを...
悩み迷い考え...そして作って作って作り続けて...
そして、職人の手から美しい作品がつくりだされる。


Nさんは、価格がついている以上は「作品」ではなく「商品」だとご謙遜されるが
自分にはそうは見えない。
偽物やまがい物ばかりが溢れる現代において
心と技を尽くして作られたものは、職人の心と技の結晶であり「作品」なのだ。


最新作の小鉢...深いなみがうねって途中で反転するこの技は
かなり高度で、失敗作もたくさんできてしまうという。
美しい...

「器は中にいれるものを引き立てるものだから、自己主張してはいけない」
というNさんのポリシーで、サイダーの瓶だけを原料として、色は一切つけない。


午後から客先に寄って打ち合わせを行い、
そこから、ほぼノンストップで車を飛ばして厚木の会社に戻る。


FB友だちになった、ジャズシンガーSさんのコンサートに行くため...
会社に着いた19時の時点でコンサートはすでに開演している。
出張で遅くなったから今日はいけないと言っても済むかもしれない
でも、約束した以上は最後の一曲だろうと駆けつけなければ...
同僚に頼んで小田急の駅まで送ってもらい、小田急・千代田線・半蔵門線を乗り継いで
半蔵門駅から東京FMホール着21時 コンサートはラストの3曲
間に合ってよかった。


昨日から6人の友に会うことができた。
それぞれ、全く違う世界で生きる人たち...
悩みながら挑戦を続ける人たち...
彼らから、どれほどの勇気と力をもらったか計り知れない。
自分も頑張らねば...