「日本人はなんのために働いてきたのか」

先日紹介したこの本を、やっと読み終わる。

日本人はなんのために働いてきたのか

日本人はなんのために働いてきたのか

興味深い内容を今後取り上げていきたいと思う。
まず、「職人」の労働意識について...
アメリカの社会学者 ライト・ミルスは次のように職人労働の特徴を語っている。

1)その最初の特性は労働そのものの歓びと、
「生産物に対する期待」によって成り立っている。
 したがって、金銭的な儲けや名声への期待は、すべて二次的なもの、
 重要な点は「働くことの歓び」である。
2)職人労働にとって最も重要なことは「生産者と生産物の心理的結合である」生産者と生産物の心理的結合である」という。
 職人は、生産物の完成した姿を想像し、仕事の過程に満足感を味わい
 できあがった作品に美的充足感を経験することができる。
3)職人は自分の労働を企画し作業の順序と方法を自ら決めることができる。
 彼はこの点で労働の主人たりうる」
4)こうして職人の労働では、技術の向上と人間的成長が結びついている。
 自分の心身を打ち込んだ労働が自らの人格を向上させることになる
5)職人的な生活様式で、労働と遊び・労働と教養は一体化している。
 労働は遊びと同様に自己表現となる。
 芸術家と同じように職人にとって、仕事は価値の創出であり自己表現でsる。
 こうして労働であっても遊びであっても職人的行為は教養の手段となる」
6)職人の生活で労働は唯一の動機である。彼は、暇な時の雑談でも仕事の話をしている。
 職人にとっては休息といえども、次の労働を考える思索の時間である。

労働に歓びをもてることは幸福なことである。
自分が「労働の主人」つまり主体者になることで
労働は自己表現の場になり、そのまま教養にも遊びにもつながる。
現代社会に、いかにこの生き方をあてはめるのか?
それは自分自身が「主体者」であることであり
自分の「使命」というものを自覚することであろうと思う。
そして、
この「労働」という言葉をそのまま「学ぶ」という言葉にも置き換えられるし
ひいては「生きる」に置き換えることもできるのではないか?
そして、ここで「歓び」は「喜び」ではないのだ。
つまり自身の内面から湧き上がるのが「歓び」だと思う。
自らの使命に生きる歓喜の人生でありたい。