チケットをいただいてオペラを観に行く。生のオペラは約20年ぶり。
英国ロイヤルオペラの『カルメン』ケルン国立歌劇場の『マクベス夫人』
そして今回は、あのモーツァルトの『魔笛』ポーランド国立ワルシャワ歌劇場オペラ
この『魔笛』には有名な曲が多く、断片的には聴いたことがあるが、通しで聴いたことはない。
久し振りの劇場で、胸が高鳴る。有名な序曲から始まり、幕が上がる。
全体としてはメルヘンチックなストーリーであるが、途中で善と悪が入れ替わったりして
支離滅裂な部分もあるが、これはモーツァルト流の己心の中の遊びではないだろうか...
夜の女王の娘パミーノを救うため旅に出る王子タミーノ。その伴をする楽天的な男パパゲーノ。
難関と試練を超えて、愛が成就するという物語。
後で調べたところ、この曲は”音楽の市民革命”という位置づけを持つという。
当時、音楽は貴族のためのものであったが、ザルツブルグ司教と対立して
ウィーンに出たモーツァルトは貴族のための音楽と訣別する。
貴族階級を批判したオペラ『フィガロの結婚』の上演に成功したモーツァルトは、
フランス革命後、市民のためのオペラに取り掛かった。それが『魔笛』だったという。
夜の女王が象徴する古い慣習やしきたりから主人公は様々な人々との出会いや試練によって
平等と自由の世界に導かれる。自由の象徴は、自然児パパゲーノである。
一人の人間における内なる自由ともとらえることができるのではないだろうか?
『魔笛』は大衆劇場で上演され民衆から絶大な支持を得た。
ユーモラスな場面も多く、観衆の笑いを誘う。
"勇気"という意味の言葉が繰り返し繰り返し歌の中に出てくる。
「苦悩の道を行くものよ! 汝を火と水と空気と大地が守るだろう...」
臆する心なく、自らの道を進めと...
勝手な解釈ではあるが、
ピンチに直面した時に奏でる魔法の笛と鈴は、自らの心の中の勇気の象徴ではないか?
苦悩に直面したときこそ、勇気を奮い起せという...
華やかな衣装、美しく技巧に満ちた音楽。
この世のものではない、しかしあの世でもない...
この世ならぬ世界の中に観衆を引き込みながら、生きることの歓びを紡ぎだす。
これこそ、芸術の愉しみなのだと思う。
感動のひと時、またオペラを観たいな〜と思いながら帰ってきた。
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
- +
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
有名な曲ですが...
第二幕で突如"悪"に変貌する夜の女王のアリア『地獄の復讐が私の心のなかに燃え』のYuoTube画像
高音の奇跡のような歌声です。
出演者は全く違う人ですが、ご参考までに...(会社でご覧の方は音声に注意!)