再び現場へ

休み明け、久しぶりにプラントの現場へ
施設全体の工事は進んではいるが、全体に仕事が粗雑である。
工場建設というのは、様々な業者が入り乱れて
同時並行で仕事をしていくので、
暗黙の了解で、それぞれの仕事の仕舞いはきちんとする。
道具の整理・掃除の徹底、一日の仕事が終わればきれいに片付ける。
ところが、この現場は材料が散乱し、ゴミが放置され
埃だらけで、とても汚い。
仕事も雑で、人が乗るステージのボルトが締っていなかったり、
設計ミスで、後から壁に何箇所も穴を開けたり
階段の段数が足りなかったり...
一流企業の仕事とはとても思えない現場である。
役所のような縦割りの責任のなさ、仕事に対する情熱の欠如...
そんな人の気持ちがそのまま現場に出てしまっている。

                              1. +

久しぶりの現場で疲れて、
ホテルに帰って他の書類を作ったあと早く寝てしまった。
夜中の3時に目が覚めテレビをつけると
BSでNHKスペシャル世界遺産」をやっていた。
今日は水の都ベネチア
途中から見たのだが、ベネチアングラスの職人が出ていた。
香辛料などを中心に地中海交易で栄えたベネチアは、
15世紀、スペインの海外進出によって、インドや新大陸の香辛料貿易を
海外への船の便のいいスペインにとられてしまう。
これまで商品を右から左に流して利を得ていたベネチアが力を入れたのは
自国でものづくりを始めた。
その一つがベネチアングラスであった。
職人たちが競って作り上げた独自のガラス技術はヨーロッパ中に広がり
国家の財政を支えていった...というもの。
中でも貴族の人気の的となったレースグラスというレースの柄の入った器は
素晴らしい技術であった。
物を作るということは人間が生きることの発露であると思う。
工芸品だけでなく、建設物でも道具でも...また料理屋お菓子でも
その行為の中には喜びがある。
イカリエンテ自身も、ものづくりをする時間が最も楽しい
昼間見た現場を思い出すと、根本が何か違っているように思えた。