使命

7月28日 父が入院 
7月29日 心臓の冠動脈にステントを入れる手術
7月30日 退院
7月31日 妹 帯状疱疹が顔に出て、緊急入院


今日は妹のところに見舞いに行こうと決めてあった。
その前に...早起きして、再び蓮を観に行く。
生きていて、花が咲くことがこんなにも気になるというのは
生命と生命が共鳴するからだろうな...


9時...いったん帰宅
すると、ご近所のOさんが昨夜交通事故に遭ったという連絡
Oさんにはお世話になっているし、息子さんたちとも親交があるので
すぐにS大学病院へ...
夜、散歩中に後ろから来たバイクに跳ねとばされたという
全身を打って、くも膜下出血を伴う脳挫傷 両脚 片腕骨折という大変な状況
夜中にいったん心肺停止したという。
しかし...午前11時過ぎに意識をとりもどす。
救急救命センターに入ると、全身ギブスとチューブでがんじがらめ...
顔もわからないくらいに腫れて、痛ましい状態にもかかわらず
かろうじて開く右目で来た人の顔を認めると、「やあ」と言わんばかりに
動く右手を軽く上げる。
ほっとするというよりも
72歳のOさんの、これほどまでの生命の強靭さに、驚愕する。
人一倍、面倒見のよいOさん...まだまだ使命があるから、
まだ、生きなければならない人だから...
きっと元気に復帰されるはずだ。
息子さんたちに挨拶をして病院を後にする。


そして妹が入院している病院へ...
帯状疱疹は、身体だったらそれほど重大でもないのだが
頸から上は、かなり危険が伴うらしい。
病院に行ったタイミングがよくて、即入院になったわけだが
10日くらいはかかるという。
大事に至らず、少し安心した。


ふと思い立って、タゴールを読みかえしてみる。

悪しき夢 何処より来て
     痛く 生命を 悩ます
   泣き惑ひ 醒めて見れば
     われひとり わが胸を抱く
       誰かあるやと 怖ぢ
       身を尽くして 争ふに
       君が笑見て 今ぞ知る
         われを揺りしは君なるか


楽 苦 恐怖と 絶間なく
     この生命は 安からず
   これを措きては わがものと
     言ふべきものは さらになし
       わが眼の闇も 朝日影
       浴びて たちまち 消え失せむ
       満ちわたる 君がみ前に
         激浪みな 鎮まらむ


   タゴール『ギーターンジャリ』131段


この生命は、安からず...だな。


命あるものは、必ず死ぬときが来る。
自分自身も、そして家族や友人も...いつその時が来るかは、誰にもわからない。


そして間もなく、Oさんは静かに息を引き取られた。

僕の胸の中にはOさんの最後の笑みだけが残った。


Oさんの姿をとおして、
一日生きることの重さを...
一日生きることの輝きを...
一日生きることの辛さを...
一日生きることの価値を...
一日生きることの不可思議を...
感じずにはいられなかった。


一日...そしてまた一日...
大事にしなければ...と感じた一週間