われは旅人

今日は何の予定もなく、午後から散歩に出かける。
年末からの過食で太った身体を戻すため...
地元都筑区の遊歩道、南コースのうち6km
雑木林に囲まれた道
少しだけ残っていた紅葉も完全に落ちて、
今は色を失った木立を
枯葉を踏みながら、ゆっくりと歩いていく。
時折立ち止まっては落ち葉を眺めたりして...
何の木かわからないけれど、芽が膨らんでいる木も幾種類か...
寒さの中でも生命は春への準備を着実にしているのだな。
色のない遊歩道で、たまに見かけるさざんかの紅はあでやかだ。
2駅歩いて、仲町台駅に着くころには陽が傾いて寒くなる。




帰りの電車に乗る前に、喫茶店で暖をとりながらタゴールの詩を開く。

   われは 旅人
われを留むるものあらじ
  苦楽の絆は すべて徒(あだ)
  この庵を また何方結ばむ
  世の業の荷に われ倒れむ
     壊れ 散り 毀たれむ


   われは 旅人
生命の限り 道行き歌ふ
  身の砦の門みな開き
  貪りの枷を断たれむ
  善悪を 超え行かむ
     世より世に赴かむ


   われは 旅人
荷はみなすべて 捨てて行かむ
  遠く 虚空は われを喚び
  余所人は 声なく歌ふ
  暁闇に わが生命を惹くは
     誰が笛の猛き響きか


   われは 旅人
何日の暁に われ立ち出でし
  その時に 鳥も来啼かず
  夜明まで 幾刻ありしか
  瞬せず ただ 目凝らして
     黒闇に 目醒めてありき


われは 旅人
何日の宵 何処の宿に至らむか
  何の星 其処に輝かむか
  何の花の香に 風嘆かむか
  誰ぞ 其処に 目許涼しく
     幾代久しく われ待ち居るは
           

       タゴール『ギーターンジャリ』117段 渡辺照宏

美しい言葉...力強い言葉...
人が欲しているのは、そういう言葉なのだ。
そういう言葉を語れる人間にならなければ...



帰宅して年賀状を作成70枚...