「悪党」という名のカクテル

平塚の友人H君から、「飲みに行きませんか?」と、お誘いのメールをもらった。
「自分は壊れてしまったのかもしれない」と書いたFBの書き込みを気にしてくれて、
声をかけてくれたのだった。


年明けから出張もなくなって仕事も暇になってしまったので
週末の今日、仕事帰りに平塚で会うことにした。
彼と差しで飲むのは約1年ぶり...


駅ビルの居酒屋で食事をしながら近況を話す。
彼は経営者として、二代目として悩み、さまざまなジレンマのなかで仕事をしている。
今日はムイカリエンテさんの話しを聴きますよと言って、今の思いを聞いてくれる。
まっすぐな男だから、余計な前置きも修飾語もいらない。
歳は1つしか違わないのだけれど「生意気を言ってすみません」と気を遣いながら
厳しい指摘をしてくれた。
「ムイカリエンテを信頼し、慕っている人たちを失望させてはならない」と...
自分は、どこにでも転がっているような石ころのような存在だけれど、
この日記に何年も寄り添ってくれている人が何人かいるのは確かだ。
日記を書きはじめてから数年は、燃えるような言葉を吐いていたが
この数年は精神が落ちぶれて、「ムイカリエンテ」という言葉からは程遠い。
彼の言葉は胸に刺さった。
彼の想いの宛先としての自分を強烈に感じた。  
歳を経るごとに、苦言を言ってくれる人というのは減っていくものだ。
ありがたいな....


二軒目は、Bar Scotch Cat 
T子さんは、変わらぬ佇まいでカウンターの中に立ち、接客をしておられる。
「相変わらず、おきれいで..」とご挨拶すると「相変わらず、お上手で...」と..
最初のオーダーは、マランドロというカクテル。

malandroは、ポルトガル語で悪党・ならず者という意味
http://blog.goo.ne.jp/bar_scotch_cat/e/f0972ef87b3f24cbb14fbda53dd9d9b0
キザでジゴロ、女ったらしな奴だそうだ...
「ムイカリエンテと近いかもしれない」と、T子さん...
濃厚な甘味とピリッとした辛味... まさにちょいワルだ
以前には、「ムイカリエンテ」というカクテルも即興で作ってもらったな
前回の日記→  http://d.hatena.ne.jp/mui_caliente/20111014


カクテルの後は、MACALLAN12年...白州と、ロックでいただく。

いい気持ちで酔っぱらって、ここで何を話したのか...よく覚えていない。
が...とても心地よかったことだけは覚えている。
T子さんは美しいだけでなく、数々のカクテルの大会で賞を獲得してきたセンスは一流だし
接客の際の言葉にも立ち振る舞いにも気品がある。
若くして独立されたが、いいお客さんがたくさん居られるようだ。
きちんと生きているよな... 
自分とは大違いだ...お会いするたびに、そんなふうに思う。

今日は終電に乗り遅れぬように、店を出る。
帰り道...ふと、岩崎航氏の五行歌が浮かぶ

辛かったその事より
なぜだろか…
力いっぱい励ましてくれた
その時のあなたが思い出されて
虹が 懸かるんだよ

H君ごちそうさまでした。
そして...本当にありがとう。