『楊令伝』

台風一過の爽やかさを感じない
なんとなくすっきりしない空..
重い気分のまま家を出て電車に乗る。
朝から眠くてどうしようもない。
外出の予定もなく、一日書類作成。




定時でいつものようにタイムカードを押して外に出る。
朝は蒸し暑かったのに、一日にして一気に秋になってしまったような肌寒さを感じる。

楊令伝 1 玄旗の章 (集英社文庫)

楊令伝 1 玄旗の章 (集英社文庫)

北方謙三の『水滸伝』全19巻を読了したのは、2008年の9月...ちょうど3年前だった。
http://d.hatena.ne.jp/mui_caliente/20080905
悪しき権力と闘った民の中の人間の集団、梁山泊
愛すべき英雄たちが次々と倒され、とうとうリーダーの宋江の死をもって陥落する。
その続編として書かれていた『楊令伝』が文庫化されたので、読み始めた。
またしても長編ではあるが...生命を燃やすような文章が読みたいという思いで...

光が、三つ見えた。
静かな夜で、月はない。星が散らばった空に、雲がゆっくり流れているだけだ。
燕青(えんせい)は、舳先に腰を降ろしていた。
水面を渡る風は冷たいが、当たるのを防ごうとは思わなかった。
むしろ身を切られるのが快いほどだった。
声は聞こえず、櫓を遣う音と水音だけが聞こえるだけだ。
三年経ったのだ、と燕青は思った。長かったのか短かったのかは、わからない。
じっとしていても、闘っていても、歳月は流れる。
                      『楊令伝』第一巻 玄旗の章 

長い夜を越えて、いよいよ新しい闘いが
生き残った梁山泊の男たちは、巨大な権力に生命を狙われながらも再起に向けて動き出す。
最初の数行で、その生命力が湧き立つ...いい文章だな。


自分の中の長い闇は誰が作ったものでもない。自分で作ってきたのだ。
しかし、どうやって切り開けばよいのかもわからない。
「じっとしていても、闘っていても、歳月は流れる」
闘いたい...存分に...