心に緑の種をまく

先日マイミクのmikikoさんに紹介された『心に緑の種をまく』
心に緑の種をまく―絵本のたのしみ (新潮文庫)
途中、他の本に寄り道していたので遅くなったが、今日、図書館に向かう電車の中で読み終えた。
著者の渡辺茂男さんは、児童文学の世界ではかなり有名な方だそうであるが
その集大成ともいうべきこの本ができる背景に、
mikikoさんがいかに深く関わっておられたかを知り、改めてすごい人なんだな〜と感心した。


子どもは、溢れるくらいの愛情をもって育てるものであると思う。
自分自身も、両親からは愛されて愛されて育てられた。
しかし、最近街で見かける母親の姿を見ていると悲しい気持ちになることがあまりにも多い。
この本を読み終えた電車の中で、ふと周囲を見渡すと休日で家族連れの乗客が多いのだが...
子どもをほったらかしで携帯に熱中している母親、ヒステリックに子どもを怒鳴りつける母親
プレステのボタンを狂ったように打ちまくる父親...
先ほどまで読んでいた童話をめぐる親子の美しい世界は...結局絵空事なのだろうか?


経済優先...金金そして金...
物質的な豊かさが幸せだという錯覚が蔓延して、社会が完全におかしくなってしまったように思う。
格差社会というけれど、人間には何の格差もないわけで、それは経済至上主義社会が勝手に作った格差
そんな大人の社会の矛盾も汚れも、子どもの純白な心はそのまま吸収してしまう。


そんな汚れた社会から子どもを守るのは「緑の種」なんだと思う。
大人が子供の心に種をまくとき、同時に自分の心にも新たな種を蒔いている。
無限に広がる心の世界を、幼いころから植えられてきた子どもは、
社会と触れ合う頃には、種が芽を吹いて根を張って葉を広げて...
きちんと自分を守っていけるような気がする。
種が樹木になるには、十年二十年...時間が必要だから、いますぐにでも種をまき始めないといけない。
それはそれは、気の遠くなるような作業だけれど
気がついた一人から始めなければならない。


そんなことを考えながら、約50冊の絵本のストーリーや成り立ちを読んで行った。
今度は絵本を一冊一冊、読んでいきたい。
さて、どの子に種を植えるかな?