感謝の心

Mさんとは父の代からのお付き合いである。
亡くなったお父様は寿司屋を営んでおられた。
父はその常連客...もう40年も前のことである。
数年前に離婚をされてご実家に戻り、その後の無理な仕事がたたって
大きな病を患い、1年以上の入院を余儀なくされた。
歩くのも不自由で、退院後も仕事の復帰が困難である。
今日は久しぶりに母と共に見舞いに..
お母様とお嬢様の3人暮らしの中で
まさに爪に火を灯すような生活であるが、表情はとても明るい。
何が彼女をそうしているのか?
感心したのは、周囲の人に対する感謝の念がとても強いこと。
あの人にはこういうことをしてもらった。この人にも良くしてもらった。
あの人には娘をかわいがってもらった...
出てくる言葉は、そんな感謝の思いばかりである。
思春期のお嬢様は生意気な口をたたくが、それでも親思いのいい娘さんである。
自分の体が自由にならないのに、人のことを心配し
社会のためになる仕事ができたらと望んでいる。
そんな感謝の心に感銘を受けて帰ってきた。
金を握った人間が勝ち...みたいな歪んだ社会
人を騙してでも金儲けがしたい企業や役人たちの慢心
軽薄なり浅はかなり
幸福とは、銀行口座の残高を増やしていくことではない。
心の中に財産を積んでいくことである。