1月に大腿骨を骨折した母は、杖なしでも歩き回れるようになったので、
今日は、車で一緒に外出… ランチをして買い物をして...
夕方帰宅して、紫陽花がいっせいに開いた団地の庭を、
3人でゆっくりと歩いてまわる。
築40年...年寄りばかりのこの団地は庭の部分が広く、
住民一人一人にあてがわれたスペースに、それぞれが花壇をつくっている。
野菜や果物は植えてはいけないのだが
観賞用の花は好きなように植えてよいので、季節季節に様々な花が競うように咲くのである。
これはSさんの花壇...ここはNさんの花壇...といういように話ながら歩く母…
綺麗な花を写真におさめていると、部屋からそれを見ていた持ち主のおばあさんが出てきて
こっちにも珍しい花があるとか、こっちの紫陽花が今一番きれいだとかいいながら案内してくれたり
通りがかったご婦人が母と雑談を始めたり... 出先から帰ってきた老人が父と話したりしている。
皆が高齢で、身体にも何らかの不自由があったり病気があったりして、日常的に生死に向き合い...
決して豊かとは言えない...愉快なことよりも、辛いこと哀しいことのほうが多いのであろう
この老朽化した建物の住民たちが、梅雨の合間の爽やかな空の下の花園で
他愛のない話をしている姿は、一幅の絵のように幸福だ
帰り道...刷毛で吐いたような雲がほのかに染まり始めたので
空がよく見える田園地帯を通ることに...
思っていた道を曲がり損ねて、次の十字路を曲がって川沿いの道を走っていると
いつの間に植えられたのか、色とりどりの立葵がいっせいに花を開いて立っている。
車を停めて、100mほど先まで咲いているその花を見て歩けば
川を渡ってくる、初夏の爽やかな風が気持ちよい。
下から見上げるように花を撮っていると
背景の空が淡い茜色に染まり始める。
刻一刻と茜の色が濃くなり、薄い花びらもあかく染まる。
夕焼けの背景の中に美しいシルエットが浮かび上がる。
空の色は急激に冷めて、宙へと変化していき…
やがて、シルエットも闇の中に溶けていった。
どこからともなくクチナシの甘い香りが漂ってきたが
暗くて、その花がどこにあるのか、見定めることはできなかった。
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