雨上がりの曇った空のしたの鉄橋のやうに...

魚津での仕事は、厳しい価格交渉の上
なんとかこちらの想定内で妥協することになり
具体的なスケジュールと、技術的な課題をもらって
打ち合わせ終了。
同僚を駅まで送って、立山の麓を通って神通峡へ...


ダムのすぐ下流にある渓谷は川幅が広く、両岸の急な斜面の木々は紅葉している。
深い碧色の水は水面に渦を作りながら滔々と流れているが
橋の上からは何も音が聞こえない。

時折通る車の音だけで、それが通り過ぎると怖いくらいの静寂に包まれる。
低い欄干によりかかると、吸い込まれそうな恐怖をおぼえる。


下流側には高山線のレトロな鉄橋...

この風景を見た瞬間に、中原中也の詩を思い出す。
「僕は雨上りの曇った空の下の鉄橋のやうに生きてゐる。」
過去の日記でも取り上げたが、実際に曇り空の下のこんな佇まいの鉄橋を観たのは初めてだ。
http://d.hatena.ne.jp/mui_caliente/20120625
寂寞に包まれながらも熱情を蔵し...清らかに気高く希望を持って生きる心
「ゆふがた、空の下で、身一点に感じられれば、万事に於て文句はないのだ。」
なんという覚悟....なんという勇気...
水の上に漂う落ち葉のように、覚悟も決まらず漂うだけの自分...
雨上がりの曇った空のしたの鉄橋のように...生きていきたいな

帰り道....越後湯沢に向かう、ほくほく線から見えた夕景