途上

やぼな出張で再び大阪へ...
翌朝早いので、前泊となり
厚木から小田原へ出て新幹線に乗り換え。
連絡が悪く、小田原で新幹線1時間待ち..
その間に、ぶらりと散策していると
昔のパン屋さんのような町工場風のお店
「守谷のパン」という看板
覗いてみると、パンは殆ど売り切れて残っているのはあんドーナツとスコーンのみ
スコーンを買って、新幹線に乗り込む。
とても素朴な味で、美味しい。


到着は21時なので友人に声をかけるのは遠慮して、ホテルへ...
結局夕食は前回と同じ『川福』のうどん
かき揚と揚げ餅と油揚げがトッピングされた"ぽんぽ"という不思議な名前のうどんにした。
この前の"てんてこまえ"は、わかるけど、"ぽんぽ"ってどういう意味なんだろう?
名前はいいとして...  やっぱり美味しい!

なんとなくそのまま帰るのも寂しく...
通りがかりのバーに寄り道。
客は、60歳くらいのカップルとムイカリエンテだけ...
最初は一人で静かに"BORE MORE12年"を舐めるように飲んでいたが
若いマスターとそのカップルの会話がおかしくて
いつの間にか話しに加わって、1時間ほど楽しみホテルに帰る。


客先での打合せを終えてから、友人のK氏に電話をかけて食事をする。
しばらく会っていなかったので、3時間近くも喫茶店に居座ってしまったが...
なんだかムイカリエンテの愚痴ばかり聞いてもらったようで...
愉快な話はできなかった。
せっかく時間をとってくれたのに、申し訳ない。


帰りの新幹線で、宮本輝の『ここに地終わり 海始まる』の上巻を読み終える。

ここに地終わり海始まる〈上〉

ここに地終わり海始まる〈上〉

もう何回読んだかわからない。
内容については以前にも日記に書いているが...
http://d.hatena.ne.jp/mui_caliente/20080322


日常の苦しみにまぎれて、つい忘れてしまうのだが...
この言葉は、自分にとって、ある意味生きるよすがになっている。
ユーラシア大陸の西の果て...ポルトガルのロカ岬の碑文
長い厳しい旅をしてきた青年が、大海原に向かって呟いた一言...
「さあ、これからだ!」
人間は年齢や状況にかかわらず、つねに"途上"にある。
生まれた瞬間から死ぬ瞬間まで...一瞬一瞬が生きている"途上"なのだ。
"今"は、終わりと始まりの行き交う場所だ。
心を澄ませて前を見渡せば、大海原が横たわっているはずだ。
「さあ、今からだ」
そんな気持ちになって、新横浜のエスカレーターを降りて改札に向かった。