酔芙蓉

酔芙蓉の柔らかな花びらが好きだ。
朝は純白の花が、次第にピンク色に変わっていく不思議な花。
乙女の白い頬が、酒に酔ってほんのり色づく様子に譬えて"酔芙蓉"と名付けられた。
去年初めて訪れた南足柄の酔芙蓉並木
今年も観たくなって、午後から出かける。


去年は、ほとんどの花が白いまま、夕方になって少し色づいた程度だったが
今年は昼過ぎにかかわらず、すべてピンク色に変わっていた。
去年の日記 http://d.hatena.ne.jp/mui_caliente/20121007


この花が農道に沿って1kmもずっと咲いている。
こんなにきれいなのに、誰も人がいない...もったいないな〜



行は東名で来たが、帰りは西湘バイパス経由で...
稲村ケ崎で夕陽を観たいと思っていたが、途中渋滞してしまい...
江の島の手前で日が沈んでしまう。
しかたなく、鵠沼海岸駐車場で一休み...
この海岸には来たことがなかったのだが、
浜辺に出てみると、海の向こうに富士山のシルエットがくっくりと見える。

海を渡ってくる強風は頬をすり抜けていく。
絶間なく押し寄せる波の音が心地よい。
波と戯れる人々の姿に、つかの間の幸福を感じながら
空の朱を映して、色を益していく波を眺めていた。


凡ては永久に過ぎ去る。
誰もこれを疑う事は出来ないが、疑うふりをすることは出来る。
いや何一つ過ぎ去るものはない積もりでいる事が、
僕等が生きている事だとも言える。
積もりでいるので本当はそうではない。
歴史は、この積もりから生まれた。
過ぎ去るものを、僕等は捕えて置こうと希った。
そしてこの乱暴な希いが、そう巧く成功しないことは見易い理である。
  小林秀雄ドストエフスキーの生活』