生きる。生きよう。生きている。

午後からK大学新宿キャンパスで打ち合わせ。
その前に...
五反田「おにやんま」で腹ごしらえ
鳥天うどんに、ちくわ天トッピングして490円
今日は肉うどんを食べるつもりだったけど
券売機でボタンがなかなか見つからず
後ろに人が並んでたので、まいっかと
鳥天うどんの券を買ってしまった。
やっぱ、旨いわ!


K大学での打ち合わせは1時間半ほど...終了後、新宿御苑に寄り道。
日本写真家協会の主催で行われている、写真展「生きる」を見るために、富士フォトギャラリーへ...
東日本大震災から一年...被害そのものよりも、そこに生きる人々の姿を中心にして
プロのカメラマンから一般人まで73人の写真が展示されていた。
想像を絶する巨大な災害...その場にいた人々の恐怖・苦痛・悲しみは、我々には想像できない。


写真家は迷う...
こんなにも悲惨な光景を写して、発表しても良いのだろうか?
しかし、記録として残さなければならない...その使命感だけである。
ファインダーの向こうで、家が流される、人が波にのまれていく...
写真には写らない、轟音と絶叫と...
祈りながらシャッターを切った...というコメントがあった。祈るしかなかったのだと思う。
その悲惨な災害から一年...


それでも、人は生きている。
荒れ果てた大地から、草木の芽が萌え出ずるように...葉がすべて落ちてしまった木から花芽が噴き出すように
絶望の淵から立ち上がって、生きようとする人々の生活が、そこにある。
覚えたばかりのひらがなで、行方不明におかあさんに手紙を書きながら眠りこけてしまった4歳の幼女の写真
有名らしいが、恥ずかしながら知らなかった...  http://ameblo.jp/kata-san/entry-10848645990.html
「ままへ。いきてるといいね。おげんきですか...」いたいけな寝顔に涙がこみあげる。
家族を皆失って...これから様々な苦難があるのだろうが...強く生きてほしいと思う。


言語に絶するような厳しい現実の中で、ふとした瞬間に笑顔がこぼれる。
それは、瓦礫に埋まった錆色の風景の中に花が咲いたように美しい。
泥沼の中から立ち上がり、前へ前へ...生きようとする命。
ここで闘う人々の姿の中に、生命というものの強さとか、人間として大事なこととかを、強烈に感じる。

人生というものは、苦悩の中においてこそ最も偉大で実り多くかつまた最も幸福である
                ロマン・ロランベートーヴェンの生涯』

どんな苦難にも負けずに笑顔で生きていけることが、人間としての幸福であるならば
一瞬にして突きつけられた現実と闘い続ける人々の中にこそ、幸福は芽生えているのかもしれない。

あの日を身体で、こころで感じた私たちは
語り継いでいかなくてはならない。
それが"生きる"ことの証しでもある。
生きる。生きよう。生きている。
そんな声こそが、この写真展と、写真集の
一番の望みのように思える。
   写真集「生きる」解説より 伊集院静


長くなってしまったが...
眠る幼女の記事の中に、まど・みちおさんの詩があったので
全文を引用しておく。

ねむり


わたしの からだの
ちいさな ふたつの まどに
しずかに
ブラインドが おりる よる


せかいじゅうの
そらと うみと りくの
ありとあらゆる いのちの
ちいさな ふたつずつの まどに
しずかに
ブラインドが おりる


どんなに ちいさな
ひとつの ゆめも
ほかの ゆめと
ごちゃごちゃに ならないように


まど・みちお詩集「うちゅうの目」の「ねむり」より全文。