早梅

どうしたことか...何もやる気になれず、
朝から気持ちが塞いでいる。
昨夜、酔って電話したH君の元気のない声が
耳の奥によみがえる。
彼も辛い思いをしながら生きているのだよな...
なんとなく頭も痛かったので、
風邪薬と抗うつ剤を飲んで布団にもぐりこむ。
3時過ぎに目覚め...怠惰な自分を軽蔑する。
こんな日々を送っていて、人生が良い方向に進むわけもない。
でも、どこに向かっていけばよいのかも、わからないのだ。
何に向かって頑張ればよいのかも...なにもわからない愚かな自分。
家にいるのも辛くなって自転車で外に出る。


テレビで梅の開花が始まったと言っていたのを思い出し、公園に行ってみると
7本ほどある梅の木のうち3本は花が咲き始めている。
こんなに寒いうちから咲いてしまって、大丈夫なのだろうか?
鶯もメジロも、まだ飛んではこないだろうに...
でも、春はもうそこまで来ているのだろうか。
紅梅の木の下で、梅の香りを感じながら美しい花と枝ぶりを見上げカメラに収める。
そして、木の下に腰掛けて、缶コーヒーで手を温めながら本を読む。
やがて陽が落ちて、帰り路...
木立を抜けると、北東の空に黄色い大きな月が、ぽっかりと浮かんでいた。