中東という悲劇

年末から始まったイスラエルによるガザ地区への空爆
今はすっかり報道されなくなった。
戦火に泣き叫ぶ人たちの映像を見て、
ニュースの報道は何かおかしいと思った。
中東情勢については、ほとんど無知であったが、
教科書を少し読んでやっぱりおかしいと思った。
もっと知りたくなって本を買った。
普及版 世界石油戦争 燃えあがる歴史のパイプライン(上)
広瀬隆著 『世界石油戦争』
日本人は自分も含めて、
中東の問題についてなんと無関心だったのだろうと反省した。
私たちは、石油なしでは一日も生きられないような生活をしている。
この本の資料によれば、日本人が一日に消費する石油は、
赤ん坊から老人まで含めて平均しても約6L
衣食住すべてに石油が直接的に間接的に..ものすごい比率で使われている。
しかも、そのほとんどが中東の国々から掘り出されている。
一握りの富豪を除いて、
大多数の貧しい人々が真っ黒になって掘り出している石油を
惜しげもなく、感謝もせずに使い倒して生活している。
そして、石油があるがために、大国に翻弄され戦火に泣き、
大切な人を戦争で亡くしてしまう人々
誰のせいなのか?何が悪いのか?
それを追求しているのがこの本である。
その内容は、あまりにも具体的である。
この戦争をしかけ政治を動かす人々を実名で詳細に書き連ねる。
ここまで書いて、よく暗殺されないなと思うくらいである。

パキスタンの話にいたるには少し時間がかかるが...
日本のメディアに流れる報道は、
無知なムイカリエンテでもわかるくらい偏りすぎている。
欧米が善で、中東が悪の巣窟だなんて論理が成り立つわけがない。
9・11がテロで、理由もはっきりしないままアフガニスタンイラクに戦争をしかけ、
一般市民を最新鋭の兵器で殺し続けることがテロでないと、どうして言えるのだろうか?
9.11以降、イラクで亡くなった人はすでに60万人という。
米兵も4千人が亡くなっている。これが正義か?
アフガニスタンでもすでに9・11で亡くなったアメリカ人の
何倍もの市民が殺されている。
自分の体に爆弾を巻きつけて対抗するくらいしかできない
貧しいパレスチナ人に対して最新のヘリや戦闘機で爆撃を続けるイスラエル
これまでも人間とは思えないような残忍なやり方でパレスチナを弾圧し、
横暴の限りを尽くしたイスラエル
それでも日本の報道は、あくまでアメリカ寄りである。
ハマスタリバンが「悪」であるとう見方は、
すでにアメリカの報道にだまされている。
イカリエンテは、決して自爆テロや9・11の行動を肯定はしない。
自分の命も他人の命も、それを脅かすことはやはり悪であるから...


この本の中で開かされる黒い人脈の数々。
ブッシュ親子と石油会社・軍需産業との関わり。
世界の良心とも思われているゴアも、
実は石油財閥との切っても切れない関係がある。
戦争をすれば、
国や軍需産業だけでなく大統領や閣僚などの一族が個人的に潤う。
アメリカの金融や政治のシステムの中にはユダヤ系ががっちりと入り込んで、
操っている。

100%正しいかどうかはわからない、客観的事実だけを読むだけでも、
目から鱗が落ちる思いである。

たたかいは、いつも強い者のためにあったし、これからもそうありつづけるだろう。
なぜか...理由ははっきりしている。
たたかいを語りうる者は、つねに勝者だからである。
そのたたかいかたが、むごたらしく、凄惨なものであればあるだけ、
生き残る勝者によってのみ、たたかいは語られる。
たたかいに臨んだ弱いものが語ることは、ついにない。
弱いものは無言のまま、葬り去られていくだけである。
               『周五郎流』高橋敏夫

国籍や人種に優劣をつけてはならない。宗教や思想で差別をしてはならない。
同じ人間として、生命を尊重するのか否か...その一点だけである。
金を動かし、兵器を多く持つほうが正しいなどという
論理を絶対に認めてはいけない。
根の深い問題ではある。
しかし、人類の英知をもってすれば解決への糸口は見つかるはずである。