『縞模様のパジャマの少年』

戦争というものが現実味を失い、
テレビで流れる戦争は、遠い世界...
自分たちと関係のないところで起こっている
バーチャルな世界のことのように思えてしまうが
今も世界では人間と人間が憎しみ合い殺し合う
戦争は続いている。
イカリエンテは、子供のころ母親から戦争の体験を聞かされ続けたけれど
若い世代の人は、そういうことさえなく、戦争の悲惨さや残酷さを知る機会も少ない。


『縞模様のパジャマの少年』..久し振りに映画館に足を運ぶ。

父親が強制収容所の所長として栄転してきた郊外の屋敷。
家族は、父がそこでどんなことをしているのかを知らされていない。
軍人が周囲を囲む屋敷の中での生活を余儀なくされる家族。
8歳のブルーノは、窓から見える有刺鉄線で囲まれた不思議な"農場"をみつける。
そこにいる人は皆縞模様のパジャマを着ている。
ある日屋敷を抜け出す小窓を見つけ、そこからこっそり抜け出すブルーノ。
美しい森を走り抜けて辿り着いたのは強制収容所という禁断の場所だった。
しかし、その意味さえわからないブルーノは有刺鉄線の向こうにいる
ユダヤ人のシュムエルと出会い友情を結んでいく...


あまりにも美しい森と、少年の無垢な心。
人種が違うことで、同じ人間を迫害し虐げていく人間の醜い心。
そして、悲しい結末が...
戦争ほど残酷で悲惨なものは、この世にない。
家族それぞれの視点を通して、その悲しみを描き、社会に問いかけた名作であった。