『千年、働いてきました』−老舗企業大国ニッポン

千年、働いてきました―老舗企業大国ニッポン (角川oneテーマ21)
本屋で立ち読みしていて、たまたま見つけた本。新幹線で一気に読む。
世界最古の会社は、実は日本にあったというくだりから始まる。
西暦578年から続く、創業1400年の会社「金剛組」という建築会社
1300年の北陸の旅館・1200年の京都の和菓子屋・1000年の薬局...
創業100年以上の会社が、日本には10万社以上もあるという。
その中でも手仕事の家業や製造業がずばぬけて多い。

この国のビジネスマンの大多数は、各自の持ち場で"職人"を目指しているようなところがある。
もっとも経営者や管理職には、「徳川家康に学ぶ人心掌握術」の類の"サムライ"志向が強いらしいが
普通の日本人は"サムライ"よりも"職人"のほうが好きだ。
いや、それどころか"天才"よりも"職人"を好むとさえ言ってもいい。
「職人気質」は、その愛すべき偏屈さを含みこんだうえでの賛辞だし、
職人の技を極めた者は「名人」として、最大級の敬意を払われてきた。
(中略)
小山田氏(富士大学学長)は、(『世界を支える日本の技術』の中で)
鎌倉時代以降天下を握った武士たちが農民の出身だった」ため、
「大名を含めて身体を動かして働くことは当然のことと考えていた」とし、
これが「今日の日本人の技術を大切にし育てる思想の根底になっていた」と推量している。

源頼朝若宮大路造成工事を指揮し、北条時政が土石を運んだ。
安土桃山時代の武将細川幽斎は料理の名人、子息の細川三斎も兜作りの名工
後鳥羽上皇は自ら刀を打ち、加藤清正は築城の専門家として熊本城名古屋城を手がけた。
この職人気質が、この国の仕事の根底になっている。
中国の皇帝が、建設の指揮を執るなんてことはありえないのである。
気の遠くなるような長い年月の間に、技は代々にわたって受け継がれ
ぶれることなく老舗の暖簾を守ってきたのである。
本題はここから、実はこの職人大国日本の老舗の技術が
最先端技術に欠かせない条件になっているという。
実に興味深い本である。
長くなるので、この先は追ってBLOGで紹介したい。
職人の生き方は、静かで熱い...ムイカリエンテの道に通ずるところがあるな〜