日本の老舗製造業の実力

電車での移動時間、先日読み始めて放ってあった『千年、働いてきました』を読了。
千年、働いてきました―老舗企業大国ニッポン (角川oneテーマ21)
http://d.hatena.ne.jp/mui_caliente/20070216
日本には世界最古の会社を始めとして、数百年も続く多くの老舗がある。
しかも、その老舗の製造業の中には、携帯やPCをはじめとする現代の最先端製品に対して
欠かせない技術を提供している会社も多く存在する。
その一例を挙げると...
元禄時代にできた、金箔を作る会社、福田金属箔粉工業
箔の技術を現在に生かし、携帯電話の折り曲げ部分に使う銅箔のシェアーは
日本のもう一社と合わせて、なんと世界の9割。
同じ箔の技術、携帯の電磁波シールド。現在は銀が主流であるが、
コストを下げるには、できる限り薄い膜を作らねばならない。これも同社の技術。
元禄時代の会社の技術なくして、現在の携帯の形はないのである。
次に、同じ携帯ネタ。携帯の廃棄物からは多くの金属がリサイクルされる。
特に"金"は携帯1トンから、280gが回収できる。
国内の金山で、最も質の高い鉱山でも1トンから採れる金は60gだから非常に効率が高い。
しかし、この回収の技術がすごい。小坂精錬
斜陽化した銅鉱山からの起死回生。土中の金属を分別する技術が現在のリサイクルに生かされた。
日本酒の醸造技術から、アトピーの特効薬を作った勇心酒造。
害虫"カイガラムシ"の分泌する天然のロウから防湿材・潤滑剤やカラーインクの原料を作った
セラシカNODAは、鬢付け油などの原料である木ロウを天保時代から作ってきた会社。
明治15年からブリキやかざり金具を作っていた村上開明堂は、日本一のバックミラーメーカー
エプソントヨコムが作る人工水晶は、携帯電話の心臓部であり、テレビ・PC・デジカメ・DVD...
あらゆる電子機器は、ここの水晶がなくては全く動かない。
この前身の東洋通信工業も明治24年創業の老舗。
読むほどに驚きの連続である。
老舗が柔軟な発想を持って、本業の延長戦の上に現代の技術に対応して
素晴らしい技術を生み続けているのは、すごいことだと思う。
読書の幅が少しずつ広くなるにつれて、人間の幅も少しずつ広がっていく。
先日、りさゆりれいぱぱさんが、現在の若者の読書量の低下を嘆いておられたが...
読書はやめられまへんなぁ〜