フェルディナンド・ホドラー展

スイスの貧しい家庭で長男として生まれた。
8歳で父と弟2人を亡くした。
14歳で母を亡くし、その後次々と兄弟を亡くした。
少年は、家族の遺体を貧窮院から荷車で運んだ。
そして、天涯孤独となってしまった。
彼は、どれほどの死を幼い眼でみつめてきたのだろう。


母の再婚相手が、彼を職業画家への道に導いてくれた。
観光土産の風景画を描いているうちに、師に見出された。
初期の作品には、少年時代に刷り込まれた陰鬱な影が潜んでいた。
『死した農民』という絵の前に釘付けになった。
畑に横たわる半裸の痩せさばらえた農夫の遺体...
彼の見てきた「死」が目の前にあった。


「死」への意識が、自然と向き合うなかで熟成していったのだろうか...
自然を見つめ続けるなかで、そこに生命の美しい躍動を見出し、
自然のなかの美しい反復...パラレリズムという概念が芽生えてくる。
彼の絵から、美しい音楽が流れ始めたのだ。

「人間には「死」が迫るからこそ、われわれの「生」は躍動し、それぞれに異なる「リズム」をもつのだ」
「自然の形態リズムが感情のリズムと恊働すること、交響すること。わたしはそれをオイリュトミーと呼ぶのだ!」
        フェルディナンド・ホドラー

強い輪郭によって、人物も風景も強烈な存在感を持ち
どの絵からも、それぞれのリズムが奏でられている。


50歳を過ぎて画家として認められた。
20歳年下のヴァランティーヌと恋に落ちるが、彼女も癌に犯され40歳で死んでいまう。
躍動していた「生」が止まった瞬間...彼はなにを思ったのだろう...
彼は、愛人の遺体を描いた。
またしても、ひとり残されてしまった彼は、愛人の絵と自画像しか描かなくなったという


美術館を出て、雑踏のなかを歩いている間
舞うような女の姿が脳裏から離れなかった。

                                                                                                                1. +


夕方...いつものメンバーで新年会
今回は、K君が営む 恵比寿のレンタルスペースにて...
料理教室もできるキッチンで、みんなで料理をつくるところから開始
K君の目利きで選んできた食材を使い、K君の仕切りで料理を作る。
イカリエンテは、ほぼ足でまとい...



飲んで、食べて、喋って...
楽しかった!