夕暮れの海

海をわたってきた風が、かすかな潮の匂いを運んできた。
海面にさざ波が立ち、ボラが飛び跳ねていくつもの波紋ができた。


ビルの間に沈んでいく夕陽は
少しだけ雲を焼いて、やがてさめていった。


有給休暇をとって、いくつかの用事を済ませ...
そして、また海に来た。


赤レンガの向かいの公園の、石段に座って『永遠の0』の最終章を読み終え
秋の色に染まり始めた空を見上げる。
「生きるのだ」...
主人公の零戦搭乗員 宮部久蔵の声が、
空の上から聴こえたような気がした。

昨日までの長距離運転の疲れが少し出て
昼間の熱気を吸い込んだ広い石段に身体を横たえる。
海風が心地よい。
リュックを枕にして、うとうと居眠りをする...


30分ほど寝てしまったのだろうか...
目が覚めると、すっかり暗くなっていた。
夜の横浜港はきれいだ。

そして、思い切りのびをしてから
気怠い身体をひきずって、ゆっくりと駅に向かった。



昼間、中華街の「慶華飯店」で久しぶりに食べたエビワンタン。
やっぱり、ここのワンタンは美味い...600円でお腹いっぱい。