緑の迷路

走って走って、そして走って...闘ってきた夏
体の内部に疲労が沈んでいるように重く
右膝が腫れて、曲げると鈍い痛みを感じる。
そして...
これでもかこれでもかというくらいに問題が起こり、
胸のあたりに鉛が入っているような重さ。
自分に直接起因することは一つもないのだが
やはり周囲にこれだけの問題が起こるということは
自身に問題があるのだろう。
生命というのは不思議と共鳴し影響しあっている。
イカリエンテの道から横道にそれて、迷路に入ってしまったようにさえ感じる。

土日は、横浜で忙しく過ごし月曜日から三重入り、闘いは止むことがない。
新しく始まった現場に向かうため、いつもの道からそれて、
地図上では近い道を初めて走ってみる。
繁華街を過ぎると急激に道幅が狭まって山の中に入っていく。
乗用車1台がやっと通れる急斜面沿いの細い道。
迷路の中に入り込んでいくような鬱蒼とした緑に囲まれた道。
ハンドルを少し切り間違えれば、谷底に落ちていきそうな細い急カーブ。
走っても走っても対向車とすれ違うことはない。
そんな道が延々と数十kmも続いている。
何故か自分の置かれた状況と重なって見える。

道脇の待避所に車を止めて休憩。谷に沿って清流が流れている。
木々の葉を通して差し込む緑に染まった陽光。
むせるような緑の匂いの中で、目を閉じて川のせせらぎに耳を澄ます。
森に同化しながら、心の中で絡まったものが解けていくような時間。
自分の存在など、足元に落ちている枯葉くらいのものでしかないかもしれない。
悩んでみたところで、大したことはないのだ。
清浄な空気を吸い込んで、また車に乗り込んで険しい道を走り始めた。