灯台

浅葱色の空に、すじ雲が流れていた。
海から吹いてくる湿った風は、かすかに春の匂いがした。


海風は、そして山々を駆けあがり雲となって、
雪化粧の山々の上空を覆っていた。
麓では雪融けがはじまり、川は翠色に輝いていた。

どんなに厳しい冬でも、終わりに近づくとなんとなく切なくなる。
寒さに凍える時は、春があんなにも待ち遠しいのに
春の気配が見えると、あの刺すような寒さが懐かしくなるのだ。
身勝手なものだな...


富山の仕事も、途中でもうだめだと思うような状況に陥ったが
現場で起こった不具合を、徹底的に調べて原因を究明して出した対策案は
この冬に実証することができ、なんとか継続ができる流れになった。


帰り道は、海辺の道へ...


黒部川を挟んで西側の、この生地漁港には何度も立ち寄ったが...
東の入善漁港に寄ったのははじめてのことだった。
漁師は朝方の漁のために眠っているのかもしれないが
それにしても船も少なく人影もほとんどない、寂しい漁港だ。

南の空は明るかったので、海に沈む夕陽が見れると思って走ってきたが
港の空は海の方から押し寄せてきた、大きな厚い雲が覆いかぶさっていた。


雲の流れにしたがって、所々にできる隙間から交互に光が射しこんで
海原のところどころに光の塊を作っては消えていく。

日没が近づいた頃、俄かに人が増えはじめた。
仕事帰りなのだろうか...堤防の上で釣り糸を垂らしはじめた。

やがて陽を堕ちていき、水平線の彼方に薄い茜色が浮き出たが
そのまま冷めて夜の闇がひろがっていった。



ああ、もう一度雪が見たい...
次に富山に来るときは、もう春になっているだろう。
そう思って、もう一晩富山に泊まることにして、安宿をとった。
(ホテルの前の環水公園にあった池のなかのイルミネーション)

二日続けて行った「艶次郎」で、声のいいマスターと話しながら
初めてのブリしゃぶをいただき...美味しいものをお腹いっぱいいただいてから
いつもの、「あ!!イッセイへ」
昨日は休みだったサントスと、そして初めて会ったMさんと
飲みながら、楽しい夜はふけていった。

 
おまけ...
「艶次郎」のブリしゃぶと白エビのチヂミ 絶品
「あ!!イッセイ」の手打ちそばも、専門店くらい美味しいです。