最初の一ひらが舞い落ちてきて、アスファルトの上で消えた。
見上げると、雪が舞い始めていた。
朝は、青空ものぞいていたのに
元旦に雪が降るというのはめずらしいことだった。
そして、それがとても幸せなことのように思えた。
しばらく雪のなかを歩きたいと思い、家とは違う方向に歩き始めた。
雪は次第に激しくなり
元旦の静かな街は、雪に包まれてさらに静まっていった。
気がつくと、街を抜けて田園地帯まできていた。
畑も雪に覆われ、木々も凍えるように立っていた。
寂しいけれど、美しい姿だった。
頬を刺すような寒さだったが、
年末に灯った火が、胸のなかで揺らめきながら燃えていた。
「五十歳を過ぎた情熱しか、私は信じない」
この言葉に30代で出会った。燃え盛っていた自分には、その意味がわからないまま
自分は生涯、情熱を燃やして生きていくと誓ったのだった。
しかし、40代で、立て続けに情熱を傾けた仕事を失って、情熱のやり場をなくし...
いよいよ50代に入り、思うに任せぬ人生に失望し迷いつつ、
この言葉を自らに問いながら歩いてきた。
そして、突然その日は来たのだ。
約束を守れないまま、自分はその人の前に、無様な姿を晒していた。
その人に喜んでいただける言葉を、一言として発することはできなかった。
恥ずかしさのあまり、身が縮む思いで、そこに坐っているしかなかった。
そして、厳しくもお優しい眼差しのなかで
「信じていただける人間に、必ずなります」と、心のなかでお誓いしたのだった。
その瞬間から、胸のなかで何かが燃え始めた。
写真を撮っているうちに、いつしか雪はやんでいた。
若い父親に手を引かれて、家から出てきた小さな女の子が
雪景色に歓声をあげた。
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『ムイカリエンテへの道』を読んでいただいている皆様
あけましておめでとうございます。
スタートが遅れてしまいましたが、本年も悪戦苦闘しながら一生懸命書いていきます。
よろしくお願いいたします。
今年の年賀状貼っておきます。
季節感がないですが、使える写真がなかったので... 人相もわるいな...すみません
注:文言は、このブログ用のものですので、郵送した年賀状は自筆で書いてます。
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おまけ
元朝の太陽
このあと雲が広がって、雪になりました。