Bar"Ashibe"

(昨夜 3月14日の日記ですが、
 昨日の日記が長かったので一日ずらして...)


富山から乗った特急電車は大阪駅で停まった。
明日の仕事は伊丹なので、どこで泊まってもいいのだが
ふと『瓢箪』の餃子が食べたくなって、
神戸三宮のホテルを予約した。
楽天で検索していたら、本日オープンということで特別価格で...


ホテルにチェックインしてから、阪急三宮ガード下にある『瓢箪』へ...
30歳くらいの時に、神戸出身の商社マンに聞いて初めてきた。
それから20年...神戸に来ると寄りたくなるお店。
メニューは「餃子」のみ
特製の味噌で食べる餃子は、ふっくらしていて懐かしい滋味深い味がする。
餃子が焼けるのに時間がかかるので、キツイ泡盛を一杯。
すきっ腹に効いて、頭がぐらりとなるのを感じる。
一杯では焼けなかったので、もう一杯。


以前は頑固そうなオヤジがカウンターの中に仁王たちになって餃子を次々にひっくり返していた。
カウンターの中は緊張感があって、話かけるのも躊躇われた。
神戸に来れる機会が少なかったので、オヤジがいないな〜と思っていたのだが、休憩中かなと思い...
今日もいなかったので、奥さんらしき人に「オヤジさんは?」と聴いてみる。
すると7年前に亡くなられたとのこと...
よく見ると壁にオヤジの小さな写真が何枚か貼ってあった。
そういえば、3年前に亡くなったM氏とも、ずいぶん前にここに来たな。
M氏は泡盛を数杯飲んで、その後バーでウイスキーを何杯も飲んだ。
その頃、ムイカリエンテはビールを2杯くらい飲んだだけでふらふらだった。
カウンターの向こうにいたオヤジも、隣で飲んでいたM氏も、もうこの世にはいない。
ここで泡盛を飲むのは、M氏が飲んでいたからかもしれない...


今日は珍しく客も少なかったので、奥さんとしばし会話
この店は始まってから50年...オヤジは店長としては2代目だったらしい。
阪急のガード下も時代とともに様変わりして、震災の後新しい店も増えたが
この店は、変わらずに元気に商売を続けている。
50年...いったいどれほどの餃子を焼いてきたのだろう。
同じことを持続していくという力...石をうがつ水の力...
泡盛を3杯と餃子を3枚いただいて、笑顔でまた来ますと言って店を出る。


そのまま、ふらふらと歩いてBar”Asibe”に寄る。
まだ30代だった頃、ひとりでふらっと入って、バーテンにお奨めのウイスキーをと頼み
BoreMoreを初めて飲んだ。気に入って8杯もロックで飲んで、そのままカウンターで朝まで潰れていた。


その後何度目か...
しばし一人の時間を楽しむためにBoreMoreを1杯...

バーテンは最近若返ってしまって、話し相手はしてくれそうにないが...
餃子だけだったので、特製Pizzzaをオーダーして待っていると
隣に若い女性が2人で入ってきたので、カウンターの席をひとつ空けて、席を右側に移す。
Pizzaが出てきた瞬間、そのうち一人が「いい匂い」とつぶやく。
何に向かって言ったのかわからず、周囲を見回すが、他に匂いのしそうなものを食べている人はいない。
そこで初めて顔をあげて彼女たちの方を見ると、目が合ったので
「どうぞ」と言って、皿ごと差し出す。
始めは遠慮していたが、「ひとりでは食べきれないので」と薦めると
一人が、カウンターに向かって「お皿ください」と元気に声を上げた。
さすが関西人(^^

それがきっかけで、一緒に飲み始める。
一人は横浜出身のブライダルMCのMさん
イカリエンテの娘が勤める幼稚園の近くがご実家らしい。
娘と同じくらいかと思っていたら、ちょうど一回り年上とか...
イカリエンテも若い頃は神戸に住んでみたいと思ったものだな。


もう一人は、神戸の北野にあるフレンチレストランの代表取締役Sさん
異人館の街にあるレストランで、建物は古風な洋館。結婚式もできるらしい。

若いのにたいしたものだな。


北野のフレンチレストランといえば
宮本輝の『花の降る午後』という作品を思い出す。
病で夫を亡くした未亡人が、歴史のあるレストランを守りながら
夫にねだって買ってもらった絵を買戻しに現れた青年と恋におちていく物語...
マダムというには若すぎる彼女は、どんな経緯でこのレストランの代表になったのだろうか?
想像を膨らませたら、小説になりそうだけれど...パクリになっちゃうな...


若い女性と飲めるなんて、めったにあることではないので、なんだか楽しくなって
ついつい顔がゆるんでしまう。
Sさんが「今日はホワイトデーですよね」と言うので(さすが関西人!)
二人に飲み物を1杯ずつおごって...それを飲み終わったので帰ろうとしたら、引き留められ
最後は二人の間に入って飲む。

 (ムイカリエンテのカメラでSさんが撮った写真  鼻の下伸びてるし...)
オジサンは、意外ともてるのだ。
FB友だちにもなって、いい気分で店を出る。


楽しい夜でした。