地より湧き出ずる春

客先に提出するデータを作成するため
緊急で実験をやることになり、休日出勤。
休日なので車で向かう。
金属化合物を硫化○素で還元して硫化物を生成し
そこに酸素を反応させて温度の推移を測定する実験
毒性のあるガスを使う上、高熱を発生するので
ちょっと危険...かな...


実験は順調に終わり、夕方早めの時間に終わったので、
帰りに散歩をしようと思い、ググってみたら、
車で30分くらい走ったところに『かたくりの里』があることがわかってGoGo...
カタクリの花の存在を知ったのは、去年の今頃。
片栗粉はジャガイモからできていると思っていたが
元々は、カタクリの根から作るものらしい(ただし、非常に高価)


気候のせいで、カタクリの花は例年よりもかなり遅れているらしく
山の斜面一面に群生するカタクリは、ほとんど蕾...花が開いていたのは20輪くらい...

ミツマタ・蝋梅・キブシ・ダンコウバイといった樹木の花が咲き、
まだほとんど色のない土の上には、所々に小さな花が咲いている。
黄色い福寿草と節分草...そして、色とりどりの雪割草
雪解けを待って、春の訪れとともに大地に彩を添えるけなげな花
土の中から春が湧き上がってきたような光景だ。
誰もいない園内をゆっくり歩いて、早春の空気の匂いを吸い込む。

ふきのとう

節分草



雪割草
おまけ...アルバムはこちら→  https://picasaweb.google.com/104915518421068648185/2012320


春といえば、藤村...だな、やっぱり

「春は来ぬ」     島崎 藤村


春はきぬ
  春はきぬ
初音やさしきうぐひすよ
こぞに別離(わかれ)を告げよかし
谷間に残る白雪よ
葬りかくせ去歳(こぞ)の冬


春はきぬ
  春はきぬ
さみしくさむくことばなく
まづしくくらくひかりなく
みにくくおもくちからなく
かなしき冬よ行きねかし


春はきぬ
  春はきぬ
浅みどりなる新草よ
とほき野面(のもせ)を画(えが)けかし
さきては紅き春花よ
樹々の梢を染めよかし


春はきぬ
  春はきぬ
霞よ雲よ動(ゆる)ぎいで
氷れる空をあたためよ
花の香おくる春風よ
眠れる山を吹きさませ


春はきぬ
  春はきぬ
春をよせくる朝汐よ
蘆の枯葉を洗ひ去れ
霞に酔へる雛鶴よ
若きあしたの空へ飛べ


春はきぬ
  春はきぬ
うれひの芹の根は絶えて
氷れるなみだ今いづこ
つもれる雪の消えうせて
けふの若菜と萌えよかし

             『若菜集』「春」より