一周忌

友人のM氏の一周忌。
http://d.hatena.ne.jp/mui_caliente/20100919#p1
あれから一年が経ってしまったが、宮崎まで墓参りに行くわけにもいかず、ご自宅に電話を入れる。
ささやかな身内だけの葬儀に参列させていただいたのに、
自分のことだけで精いっぱいで、連絡を入れることもできなかった。
電話口に出られた奥様に、無沙汰を詫びる。
幼少の頃から、父の闘病生活と母の苦闘を見てきた二人の息子さんは立派に成長して、
元気に大学と高校に通っているとのこと。
口にはだせない御苦労もあると思うが... しっかりと歩きはじめて居られることを、電話の声で感じた。

「妻は亡くなるとき、あの子の名前を呼んでいました。かわいそうな子です。
でも、あの子がいるからこそ、私は生きていけるのではないでしょうか」
妻を亡くし、これほどまでに誇り高く絶望を克服する男を見て、
いつか世の中の秩序が自然に回復していくことを悟った。
                                 レーモン・ラディゲ『肉体の悪魔

そして、M氏と出会ったR社の創業者I氏が、今週9月11日に逝去した。
30代の時に数人で会社を立ち上げ、一気に成長させて、わずか16年で株式公開までした。
都内に8階建の大きな自社ビルを建て、現在社員は500人弱。
イカリエンテが入社したのは、11年目のことで、その勢いは凄まじかった。
I社長も、当時は50代...とても熱い人だった。
14年間...好きなように楽しい仕事をさせてもらったが、
2003年、I氏引退の後に外部から来たサラリーマン社長に斬られた。
次の会社でリベンジをしたつもりだが、その会社が経営破綻すると、その後は転落の一途...
葬儀に行くか否か迷いに迷ったが、結局行けなかった。
会社にとって招かれざる人間であることは間違えないし、
何よりも、こんな無様な姿を晒したくなかった。
恩知らずの憶病者...だな


「誇り高く絶望を克服する男」には、なれそうもない。
こんな自分が生き長らえていることの意味が、見当たらない。