ポケットの中の情熱

ホテルで朝食をとりながらひろげる新聞
コーヒーをすすりながら、
なんとなく目を止めたコラム欄
一首の短歌が心に刺さる。


佐佐木幸綱...
恥ずかしながら短歌にはあまり興味がなく
今まで知らなかった名前である。

火も人も時間を抱くとわれはおもう消ゆるまでだく切なきものを

レシートの裏に書きとめて...あとで ポケットから出して口ずさんでみる。


ろうそくの火のごとく、限りある人生.. 
常に切なきものを抱きながらも、一瞬一瞬を燃えて生きたい。燃え尽きるまで...


仕事を終えてホテルにもどり、彼の歌を検索する。

噴き出ずる花の林に炎えて立つ一本の幹、お前を抱く


目覚めゆく梅、はじめての純白の花咲かせたり驚きのごとく


楠であり続けたる千年を想いてぞゆく旅の心に


かすかなる切符を指に挟みてぞ帰る家ある吾をし悲しむ


サキサキとセロリ噛みいてあどけなき汝を愛する理由はいらず


直立せよ一行の詩 陽炎に揺れつつまさに大地さわげる

生きることの切なさと
生きることへの熱き情熱と..


なんと力強い生命の讃歌   直立せよわが魂よ!