湖岸の虹

桃の節句の朝...
会社に向かう車の中でふと西の空を見上げる
雨上がりの湿った空気を朝日が照らして
虹が浮かびあがっている。
刻々と太陽が昇りゆくとともに
虹も成長していき...
湖岸の平らかな地平線に両の根元をしっかり立てた
絵本で見たような、きれいなアーチがかかった。
(写真には全部は写せず...)


いつも重く沈んだ北陸の空にかかった虹は
重苦しい心を、つかの間だけでも晴れやかにする。
虹の根元には宝が埋まっている...子供のころ、そんなことを聞いて胸をときめかせたものだが...
いつまでたってもたどりつけない、追っているうちに消えてしまうものだから
揶揄をこめて大人たちがそういう話を作ったのかもしれない。
幻の光に吸い寄せられるように、虹を求めてここまで来たけれど...
たどりついたときには、虹はどこかに消えてしまい、宝など埋まっていないことに気がついた。
幸福は、自分の外に求めるものではない...そんなことを、いまさら思い知った愚かしさ


午後から客先へ...
このあたりの道は慣れてきて、いくつものルートが思い浮かぶが
イカリエンテはいつも湖岸の道を選ぶ。海のような風景は、心を和ませる。
菜の花畑に群生する菜の花も美しいが、畑の片隅に浮かび上がる花は、健気で美しい。

もうすぐ春が来る。