宮本輝著『草原の椅子』

『草原の椅子』を読み返した。

草原の椅子〈上〉

草原の椅子〈上〉

宮本輝氏の小説には、深い洞察が随所にちりばめられていて、
何度読んでもその時々の発見があり思索がある。

「物を作るってことは、人間が生きることなんやなァって思ったんや。
人間が正直に生きるってことの根本には、物を作るってことが要として
あるんやなァって。商売もおんなじや。物を作ってる会社は
いざという時に底力がある。
右のものを左に移したり、左のものを斜めに動かしたりして
利鞘を稼いでいる連中は、世の中の動きがちょっと変わっただけで
ころっと転びよる...」


人は、有史以来、物を作ることで、生きながらえてきた。
生きることの根本には、物を作るという行為があるのだ。


物を作ることは苦闘であり、喜びである。
物を作る仕事をずっとしてきた。
それはあらゆる失敗と試行錯誤の上に成り立っていることは
みてきたつもりである。
簡単そうに見えることでも
いざ自分でそれをしてみようと思うと
なかなか思いどおりにはできあがってくれない。
真面目なものづくりというのは、実に苦しいことであるが
それと闘いながら作り上げていく歓び、できあがったときの歓びは大きいのだ。


さあ、今日も物作りに挑戦していこう。