能登半島半周の旅

富山での仕事は午前中で終わり
いよいよ初の能登半島へ...


高岡から無料の高速で氷見に入り
東岸を走って七尾から半島を縦断
輪島から西岸を南下して
高速道路で、金沢から富山に戻るコース。
かなりの強行ドライブだ。


昨日までの雨天と変わって天気は上々..青い空がそのまま海に映っている。
ほとんど寄り道もせずに海岸沿いの道を窓を開けて潮風を浴びながら疾走する。
海はいいな...


地図ではよく見えなかったのだが、和倉温泉から能登島に渡る橋があることを知り、島に渡る。
島を見ている時間もないので、ひたすら走って別の橋から半島に戻る。
そして山を越えて輪島へ...輪島を見るつもりが、もう少し先が見たくなって
さらに北へ...白米千枚田で休憩。
田植えの時期に来たらきれいだろうな...
夕焼けが空と海と水を張った水田を真っ赤に染める情景を思い描くだけで、うっとりする。

パーキングエリアの地図を見ると「曽々木海岸」という地名が...
宮本輝の初期の作品『幻の光』という作品の舞台だ...
宮本輝氏の作品の舞台には、何か所も行っているが、すっかり忘れていた。
しかし...「曽々木」という文字を見た瞬間に小説の冒頭の文章が瞬時によみがえったのだ。
そうか、こんなところにあったのかと思い、そこまで足を伸ばすことに
幻の光 (新潮文庫)

きのう、わたしは三十二歳になりました。兵庫県の尼崎から、この奥能登の曾々木という
海辺の町に嫁いできて丸三年が過ぎたから、あんたと死に別れて、かれこれ七年にもなるんです。
こうやって二階の窓ぎわに座り込んで、温かい春のお目さん浴びながら、ないでる海と仕事に出て行くあの人の車の、
もう豆粒ほどになって曲がりくねった海岸べりの道に遠ざかっていくのんを見てると、
なんや体が蕾に戻るみたいに、ぎしぎしとすぼんでいく気がします。

昭和54年の出版、購入したのは昭和58年の第4刷だから22歳の時に初めて読んだわけだが...
曽々木という地名が、冬の能登半島という暗く寂しい情景として鮮明に脳裏に焼き付いていた。
尼崎の極貧の家庭生まれ育った、主人公と同じ長屋で育った幼馴染の夫...
夫はある日、阪神電車の線路を電車に背を受けて歩いていて、電車に轢かれてしまう。
物語はすべて、主人公が亡くなった夫に語りかけるひとり言で綴られている。
人間にとって、「幻の光」とは何か...若い頃から何度も読み返しては、考えてきた作品だ。
長くなるので内容は、またいつか書くとして...
観光用の大きな駐車場が海岸沿いにできて、天気がいいせいもあって、この小説の情景は思い描けなかったが..
険しい山から滝が海に注いでいる。

ゆっくり辺りを歩く暇もなく、車をUターンさせて輪島に向かう。
途中、塩を昔ながらの製法で作っている店に寄り道。
塩づくりは夏場だけということで、最近終わってしまったようであるが、
観光客もいない塩田を見ていると、職人さんが出てきて作り方を丁寧に説明してくれる。

輪島にも少しだけ...
輪島塗の店に入ると、見事な茶器や皿など美術館のような作品が所せましと並んでいたが
店のおかみさんが、ずっと横についてあれを買えばとかこれを買えばとか売り込みが激しすぎて、うんざり...
買う気がないとみると、さっさと店の奥に引っ込む。ちょっと残念
そして他の店を見ている時間もなくなって、西岸を走って南下。
夕方の西岸を走ったのは、もちろん海に沈む夕陽を見るため。
終電の時間もあるので、羽咋あたりまで南下...


海辺のバス停

何かを干すものか...海辺でよく見かけた柵のようなもの

有名な鳥羽の夫婦岩に比べると超巨大な夫婦岩

松並木のシルエット

この瞬間...写真には捕えられなかったけれど、海が七色に光った。


雲に阻まれて、水平線に沈む夕陽は見れず...


かくして、加賀の旅は終了。
いつかゆっくり時間をかけて来たいな。


おまけ
北陸の旅アルバム
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