『わが母の記』

最近、『本覺坊遺文』から始まって、
井上靖の小説を読み込んでいることもあり
この映画のCMを見たときに、
観に行こうと決めていた。
営業先から直帰の途中に横浜駅
乗り換えだったのでネットで調べたら、
ムービルで最後の回に間に合う。
電車を降りてチケット屋に寄り、
前売り券を買って映画館へ...
最近のシネコンは劇場が狭い作りになっているが、ムービルはひと昔前の映画館なので広い。
500席の会場で、この回の観客は5人ほど...
誰もいない比較的前の席へ...視界には誰もいない。


井上靖氏の少年時代は『あすなろ物語』で読んだ。
家族と離れ、祖母と土蔵で過ごした日々の中で、母に捨てられたという思いを抱いている。
父が亡くなって、妹たちにまかせてきた母と向き合うことになるのだが
年とともに次第に薄れていく母の記憶の中で、ただ一つ消えないものがあった...


母の愛の深さというものは、他の誰人も理解しきれるものではない。たとえ子供でさえも...
イカリエンテの母の心にも、誰にもわからないほどの思いが詰まっているのだろうな。
自分は、未だに母に心配をかけ続け、親孝行のひとつもできない駄目息子だ。
せめて心配はかけないようにしなければな...


先週、母と観にいった睡蓮の花