ダンテ『神曲[1]地獄編』

K大学のキャンパス見学会@新宿
卒業はしたのだが、撮影を依頼され出動。
全体の説明会の後、キャンパス内を見学。
高層ビル校舎の最上階屋上から
階段を使って下りながら写真撮影。


                             (関係ないけど、最近壊れて買い直したプリンター↑)


こちらは、29階の屋上から見上げた空↓

終了後、15時から懇親会そして反省会...おまけに二次会...飲むペースが速かったからか、
先週の疲れもあってか、二次会は殆ど床で爆睡。結局解散は23時... 終電ぎりぎりで帰宅。


不意に思い立って、ダンテの『神曲』を読み始めた。

神曲 地獄篇 (集英社文庫)

神曲 地獄篇 (集英社文庫)

正しい道を見失い、暗い森の中に迷い込んだダンテが、とある美しい山を目指すが
途中、様々な猛獣に道を阻まれ、逃げ帰ろうとしたときにヴィルジリオの亡霊が現われ、彼をとどめる。
そして、そのヴィルジリオを師と決めたダンテは、彼に従って地獄への旅を始める...という物語。
地獄巡りとは...いかにもいまの自分のようだ。

ひとの世の旅路のなかば、ふと気が付くと、私はますぐな道を見失い、暗い森に迷い込んでいた。
ああ、その森のすごさ、こごしさ、荒涼ぶりを、語ることはげに難い。
思い返すだけでも、その時の恐ろしさがもどってくる。
(中略)
どうしてそこへ迷い込んだか、はきとわからぬ。
ただ眠くて眠くてどうにもならなかった、まことの道を踏み外したあの時は。
だが恐ろしさに胸もつぶれる思いさせたあの谷の行きづまり、とある丘のふもとに来たとき、
空をうち仰ぐと、太陽は、どんな道を通ろうとも人を正しく導くあの光で、丘の肩をすでに包んでいた。
そのとき一ひらの落ちつきが来て、私の怖畏を鎮めた。
みじめな不安の夜すがら、私の心の湖にあがっていた怖畏を。
(中略...ところがダンテの行く手に豹と獅子と狼が次々に現われ、道を遮る)
陰惨なその姿の恐ろしさに、私の心は重くうちしおれ、高きに登ろうとの私の望みは、もはやほとほと消えた。
(中略)
私に立ち向かうその動いてやまぬ獣は私をおとしいれ、太陽のおしだまる森の闇へ私を後退りさせた。
低きへと道をよろめきくだるほかは無い私の眼の前に、卒然として人の姿が立った。
(中略...それがヴァルジリオの亡霊だった。ダンテはそれに従って旅を始めるが、
すぐに気落ちして疑惑に陥る)
一旦はきと決めた心を翻し、新しい考えによっておのれのおもわくを変え、
折角始めたことをなげうつ人がいる。
かぐろい山裾で、まさしく私はそのような人になり、思いつきは極めてすばやかったその企てを、
考え直し、捨ててしまった。
大度の人の亡霊は答えて言う。「君の本音をわたしがとりちがえていないなら、
君の精神は、卑怯な恐れに打ちのめされたのだ。
怯懦はしばしば人の妨げとなり、名誉の企てから身をひるがえさせる。ありもしない敵におどろく獣と同じ。
                      ダンテ・アリギエーリ『神曲[?]地獄編』寿岳文章

この数年は、ある意味地獄の連続だった。
そして、高みを目指したり、現実の厳しさに逃げ出したりの繰り返しだったかもしれない。
冒頭のダンテの決意や躊躇は、あたかも自分のことのように感じられる。
そして、また新たな苦悩は先週から始まった。


いつものように危険な作業をしている工場から、毒性は若干弱いが臭いの強いガスが漏れ出し、
近隣から役所に訴えられて、立ち入り調査が入った。
危険な現場の実態が指摘されて改善されれば良いことなのだが....
視察前日に、隠ぺい工作の手伝いをさせられた。なんたる不本意
従わねばならない自分が、悔しくてならない。
工場内にいかに毒物が充満し、床や壁に付着し蓄積しているか...経営者はわかって、
明るみに出ることだけを恐れている。自分が罰せられるから...
しかし、その工場で社員が毎日作業をしていることには、何の心配もしていない。
小手先の隠ぺいなど、ばれてしまえばよいのに...
役所の執念に期待するしかない。


地獄を巡って、ダンテはどこに行くのだろうか....
自分は、どこに行くのだろうか...