夢のような情景

短い盆休みの前日は、暇つぶしのような仕事。
つくばの研究所に行って直帰
休み前に憂鬱な気分を変えたくて...
仕事帰りにI君にメールして都内で軽く一杯。




タイムサービスの安いハイボールを立て続けに飲んで、いい加減に酔っぱらう。
お腹が空いていたので、日頃抑えている炭水化物もしっかり食べて...
仕事の話はしたくもないので、関係のない話ばかり...
思い付きで呼び出して、すぐに来てくれる友人がいるのは、ありがたい。
あまり長く付き合わせるのも悪いので、早めに解散。

内田百間(ひゃっけん)という作家の名前を知ったのは、
茂木健一郎氏が何かの文章で紹介されていたことからだった。
(注:"けん"の字は門構えに月なのだが、文字が化けるので日にしてある)
図書館で借りた短編集...

内田百けん (ちくま日本文学 1)

内田百けん (ちくま日本文学 1)

それは、今まで読んだこともないような不思議な世界だった。
すべてが、夢の中の出来ごとのような...
何か突拍子もなく、不気味で、美しく、悲しくて、宙を彷徨うようで...そして突然幕が降りる。
そして、なんだか癒される。
夜...寝る前に、ひとり静かな部屋で短編をひとつだけ読む。
愉快な夢がみれそうな気がして...

黄色い大きな月が向うに懸かっている。色計(ばか)りで光がない。
夜かと思うとそうでもないらしい。後ろの空には蒼白い光が流れている。
日がくれたのか、夜が明けるのか解らない。
黄色い月の面(おもて)を蜻蛉(とんぼ)が一匹浮く様に飛んだ。
黒い影が月の面から消えたら、蜻蛉はどこへ行ったのか見えなくなってしまった。
私は見果てもない広い原の真中に立っている。
軀(からだ)がびっしょりぬれて、尻尾の先からぽたと雫が垂れている。
件(くだん)の話は子供の折には聞いた事はあるけれども、
自分がその件になろうとは思いもよらなかった。
からだが牛で顔丈(だけ)が人間の浅間しい化物に生まれて、こんなところにぼんやり立っている。
何の影もない広野の中で、どうしていいか解らない。
                       内田百間『件(くだん)』より


月と言えば...最近、よく聴く『FLY ME TO THE MOON』
ずいぶん違う"月"だけれど...

有名な歌なので、いろんな人が歌っているが、Not King Coleの声が一番好きだ。
そして、このYouTUBEの訳...いくつもある訳詞の中でいちばんいいと思う。
これも...夢のような歌だな...


おまけ...先週H氏にごちそうになって豆腐料理屋のランチ写真