風に向かう花

まっすぐに生きるということは
なぜ、こんなに哀しいのだろう...
そして、なぜこんなに美しいのだろう...


藤沢周平原作 平山秀幸監督 『必死剣 鳥刺し』
撮影は、ムイカリエンテが高校時代の剣道部同期生 石井浩一
石井君から映画公開の連絡をいただき、センター北のノースポートで観賞した。


生と死 静と動...
里見三左エ門 下級武士として静かに生きて来た男に運命の波が押し寄せる。
妻の死...藩主を操る妾の刺殺...そして...
様々な人間のせめぎ合いの中で次々に生じる人生の不条理
思うに任せぬ人生の中で、男は独り黙々と闘っていく。
「普通」の人々を基調に描いていくうちに「普遍」に至ったと語る
平山監督の言葉が、映画の中で浮き彫りになっていく。
クライマックス...静かな男の生が爆発する。
死を賭して闘う人間の姿は孤独であり、そして美しい。
必死で闘わなければ、生きている意味がない。
雨の降りしきる中で独り闘う男の姿が、強烈に心の奥に焼き付けられた。


エンディングで流れるalanの『風に向かう花』の
「人は誰も 風に向かう花」という歌詞が心に沁みる。


哀しい哀しいと思いながら観終わった後から不思議と生きる勇気が湧いてくる。
そんな映画だった。


石井君は、モントリオール映画祭でグランプリを受賞した『長い散歩』をはじめ
様々な映画を撮影してきている。
あの緒方拳氏からは「精神がいい!」絶賛された実力あるカメラマンである。
すべてフィルムで撮ったという今回の映像も、本当に素晴らしい。
asahi.comの評価↓
http://www.asahi.com/showbiz/movie/TKY201007090386.html

石井君 ありがとう!


予告編↓


エンディング曲『風に向かう花alan