人魚姫の悲しみ

こんなにも狂おしく悲しみに打ちひしがれる人間の姿を見たことはない。


現代バレエの巨匠 ジョン・ノイマイヤー率いるハンブルグバレエ
『人魚姫』を、NHKホールで観賞。バレエを劇場で観るのは初めて。
http://www.min-on.or.jp/hamburg2009/mermaid.html

あのアンデルセンの『人魚姫』をリメイクしたもの。
海に落ちた王子に口づけをして助けた人魚姫。
しかし、浜に打ち上げられた王子は、たまたま通りかかった女性を命の恩人と勘違いして恋をする。
人魚姫は王子が忘れられず、魔法使いに頼んで人間の体に変えてもらう。
しかし、それと引き換えに彼女はことばを失う。足は歩くたびに激痛が走る。
かくして王子に再会することはできたが、王子は人魚姫のことなど覚えていない。
言葉を失った人魚姫は、そのことを話すことさえできない。
やがて、王子は恩人と思った女性と結婚してしまう。
再び魔法使いが現れ、王子を殺せば元の人魚に戻してやろうと約束し、ナイフを手渡す。
しかし、とてもそんなことはできない...


人魚姫役のシルヴィア・アッツォーニの舞いと演技は、バレエの域を超えていた。
そして、彼女の演じる人魚姫の悲しみに、胸をしめつけられ、息が詰まり涙があふた。

鳴りやまぬ拍手の渦、何度も繰り返すカーテンコール。余韻はしばらく消えなかった。