文章の凄味

午前中自宅で書類の作成
午後からいつものごとく三重に移動。
新幹線の乗継の合間、本屋に入って
宮本輝の新刊を見つけ、購入。
宮本輝 全短篇 (上) (宮本輝 全短篇)
宮本輝の作品で発刊されているものは
全巻読んでいるので、この短編集の小説はすべて読んだことがあるのだが...
先生の書かれた本は手元に置いておきたいし、
若き日に読んだきりの短編もあるので、もう一度読み直す機会だと思って購入した。
短編は文章が凝縮されている分、なかなか理解し難いものも多い。
若い頃には読みとれなかった文章も、今なら少しわかるかもしれない。
冒頭は、デビュー作『泥の河』
イカリエンテが大学生のころに出会った名作中の名作である。
宮本文学との最初の出会いとなったこの作品を読み始めたとたんに、魅せられてしまった。
20代でも何度か読み返し、30代でも2度ほど読んだだろうか...40代になってからは読んでいなかった。
ひとつひとつの言葉をかみしめるように、じっくり読んでみる。
改めて、その文章の美しさと凄味に感動が湧きあがる。
一行一行に注ぎ込まれた、文章の技と力
先日観たロシア絵画のような暗く悲しい背景の中に、時折浮かび上がる鮮やかな色彩と甘く切ない香り。
若き日に、こんなに凄い文学と出会うことがでて、自分は本当に幸せだったと思う。
短編を読み終えたら、長編もまた読み直してみようかな。

    1. +

今日から、宮本輝原作の『彗星物語』がドラマ化されて放映されているようである。
一応、録画予約はしておいたけれど...やっぱり、自分のイメージと違う顔が固定化されると
ずっとその映像が残ってしまうので、観るのはやめておこうと思う。
『泥の河』はモノクロ映画で、映画としても素晴らしかったけれど
やっぱり本を読み返すときになって、キャストの顔がちらちらと浮かんでしまうので...