豊かさの裏側で...

ブラッド・ダイヤモンド [Blu-ray]
『BLOOD DIAMOND』
ロードショーを見そびれてしまって、DVD化を待ちに待っていた。
最初の場面から衝撃的な場面で始まり、最後までずっと悲痛な気持ちで観ていた。
舞台は、西アフリカのシエラレオネという人口500万の小さな国。
かつてはリゾート地として賑わったこともあるという。美しい国である。
しかし、ダイアモンドが発掘されたことで、採掘権を巡って、血生臭い内戦が始まってしまう。
同じ国の中で殺し合いが繰り広げられ、国民の7割が難民と化す。
ダイアモンドの産出量は世界第10位。
しかし、そのダイアモンドは密輸されて内戦のための武器に変わる。
国民の7割が1日1ドル以下の生活という世界有数の極貧国家である。
1991年から始まった内戦で、5万人もの人が命を落とし、1万人もの人が「投票できないように」と
手足を切断されている。平均寿命は世界一短く男性33歳女性36歳。

この問題を物語化して撮られたのが『BLOOD DIAMOND』である。
この中では、1999年内戦がピークに達し、反政府軍の首都進入を中心に描かれている。
非常に重く複雑な問題を、そこに生きる様々な人々の目線で撮っている。
レオナルド・ディカプリオは、タイタニックから完全に脱皮して迫真の演技をしているし
ジェニファー・コネリーの演技にも今まで以上に磨きがかかって、本当に美しい。
演出もカメラワークも臨場感があって素晴らしい。
金の価値と生命の価値を対比させながら、複雑な問題を絡めながら物語は進んでいく。
遠い外国でダイアモンドが高値で取引されるほどに、民衆が血を流し涙を流していく。
多くの少年が内戦に駆り出され、未だに20万人の少年兵が銃を持って殺しあっている。
豊かさの裏側に、こうした現実があることを、私たちは知っておかねばならないし、
同じ人間として、国際協力を積極的に行っていかねばならないと思う。
小さな日本の中で、下らない足の引っ張り合いをしている場合ではないのだ。
心あるひとには、是非勧めたい作品だった。