雨上がりの土の上で...

梅雨に入ってから晴れの日が続いたが
今日は朝から重い雲が広がり、海の上を覆う。
遠く東の空だけに朝日が射して
幻想的な風景が広がる。
窓ガラスに映る山と、遠くに見える海の合成→
仕事に向かうときには雨が降り出す。

今日はプラントでの仕事が早めに終わったため、玉城町の工場で打ち合わせ。
帰るころになって雨が上がったので、周辺の田園を散策。
紫陽花はやっぱり梅雨空が似合う。

前回来たときには田植え直後だったが、いつのまにか伸びた稲の葉が青々と広がっている。
土の上のあらゆる生命が雨を浴びて生き生きとしている。

雨の匂いのする畦道にしゃがみこんで空を見上げながら
パールバックの『大地』を思い起こした。

土は、王龍が南の都会から帰ったとき、そこでなめた辛苦を慰め、心の痛みを癒した。
そして再び、この畑の黒い肥沃な土は、彼の愛欲の病を癒した。
彼は湿った土を足の裏に感じ、
小麦を撒くために掘り起こす畦道から立ち上る土のにおいを嗅いだ。
彼は作男たちに命令し、あちこちを耕させた。彼らはその一日、たっぷり働いた。・・・
土は、まだ湿っているので黒かった。彼はただ、喜びのために働いた。
働く必要があったからではない。疲れると土の上へ横になって眠った。
土の健全さが彼の体の中に拡がっていき、愛欲の病は癒された。

土という生命の原点に戻って、都会の空気に疲れた心を癒すシーン。

生命の原点である海や土に触れることは、DNAの中に眠る生命力を喚起させる。
海から生まれ海に還ってゆく。大地より生まれ大地に還ってゆく。
宇宙から生まれ宇宙に還ってゆく。
そのことがわかれば、人生何が起ころうとたいしたことではないのだ。