ステラレネーゼおやじ

正月を挟んで実家の手伝いに通っている。今日も雨の中で片付け..
イカリエンテの父は、30代で電気工事の会社を起こし
大きな工場の配線工事から、
コンピューターでプログラムを打ち込むようなシーケンス設計まで
電気と名のつく仕事は、殆ど一匹狼(一人親方)でやってきた。
仕事の幅が広い分、道具類や材料類の種類が半端でなく多い。
20年間住んできた借家は100坪以上あったと思うが
庭に建っている物置(これだけでも10坪くらいはある)も含め
その家屋の8割にその道具や材料が目いっぱい押し込んであった。
それだけ積み上げるということは下の方は何年も使っていないものということ
年末に引っ越すことになり、その山を片付けることに...
それはそれは、気の遠くなるような荷物の山である。
使わなくなった道具にも愛着があって捨てられない。
材料もいつか使えるような気がして捨てられない...
所謂ステラレネーゼである。
知らない人が見れば、テレビで話題になるゴミ屋敷。
金属やプラスチックなので臭いはないが...
歳をとって、仕事もあまりできなくなったので
結局ほとんど捨てることになったのだが、
片付け始めたら出てくる出てくる。新品のままの高価な工具や材料
山にしてしまうので、いつしか忘れてまた新しいのを買う。この繰り返し
同じような機械や工具がいくつも出てくる。
とにかく未開封の電材のダンボールが多い。
中には未開封の3万円以上もするシャンデリアまで出てきたりして
少なくとも大型トラックで5台分くらいかな?
金額にしたら数百万ではきかないだろうなぁ〜
手伝いながら小さいものは持ち帰ってオークションに...
殆どは業者に持っていかれて中国に輸出されるらしい。
家庭のことなど殆ど顧みず、仕事仕事趣味仕事仕事で生きてきた父
父が独立してからは、家計はいつも苦しかったように思う。
稼いだお金は、道具に化けて山積みにされていたのだろう。
70歳を過ぎてもなお新しい技術を学びながら、現場にも出る父
文句を言いながら手伝う母を尻目に
物惜しそうに片付けをする父の寂しげな笑顔を見ながら
ああ、これが親父の40年間の蓄積であり思い出なんだな〜と思い、
父親の体が、急に小さくなったように見えた。