宮本先生からのはがき

久しぶりに帰宅した書斎の机の上に
一枚の葉書が置いてあった。
季節柄よく届く「喪中の挨拶」の葉書だろうと思い
裏側の署名を見て、息が止まりそうになった!
それは、宮本輝先生からのお手紙だった。

先日、トークショーに初めて出席し
その際に、感謝の思いを込めてお手紙とワインを持参した。
あまりに大きな会場だったので、直接手渡すことは叶わず
事務的に受付の方に託した。
この葉書は、その時のお礼状だった。
焦茶色のインクの万年筆で、
あの柔和な人柄が滲み出るような筆致で綴られている。
(宝物なので写真は掲載しない。住所も書いてあるし...)
青年時代から愛して止まなかった、最も尊敬する偉大な小説家、宮本先生。
幸福のときも苦悩の闇の中でも、
いつでも心の中に先生の小説を抱きながら生きてきた。
その敬愛する先生に自分の手紙を読んでいただいただけでも嬉しいのに
まさか、直筆のお手紙が届くなんて...
感動で涙が抑えることができなかった。
額に入れて机の前に飾っておこうと思う。
宮本先生の小説は、私にとって大事な大事な心の財産である。