春未だ浅い雨上がりの午後 城址の濡れた石段を、ゆっくりと昇っていった。 梅は終わり、桜はまだつぼみのままだった。 石垣の間を抜けたところで、不意に視界に飛び込んできた艶やかな色にドキンとした。 緑鮮やかな苔の絨毯の上に、深紅の椿が散らばってい…
引用をストックしました
引用するにはまずログインしてください
引用をストックできませんでした。再度お試しください
限定公開記事のため引用できません。