逃避

就職活動は全くはかどらず...
書類で振り落とされる情けない状況
傍目から見ればたいしたことではないのだろうが
暗闇の中で出口を見失ってしまったような不安に襲われる。
朝から携帯の電源を切って、
PCも立ち上げず外部との連絡を遮断。
家にいるのも苦痛になって、自転車でふらふらと街に出る。
スタバでコーヒーを一杯飲んで、センター北駅に最近できたノースポートへ...
宛てもなく最上階のシネコンに入って、「母べえ」のチケットを買う。
母べえ 通常版 [DVD]
http://www.cinemacafe.net/movies/cgi/18564/
日中事変を批判し、警察に捕えられてしまう"父べえ"
夫のいない家庭を娘とともに強く生きる"母べえ"
貧しい中でも毅然と生きる母娘と、牢獄に入っても信念を曲げず戦う父
その家族を支える温かい人々...
人間とはなんと美しいものなのだろう!
その美しさは、"生きる強さ"の中にあった。支え合う優しさの中にあった。
それは、英雄の勇猛さではなく、ひたむきに生きる庶民の勇気の中にあった。
いつの世にも、母は偉大である。
ノースポートのフードコートで一人焼きソバを食べる。
働いていなくても、落ち込んでいても、腹が減るのが悲しい。


自転車に乗って自宅までの道を走りながら、
自分という人間の卑屈さを恥じる。
書物によって、偉大な人生をいくつもいくつも学んできたつもりだった。
しかし、すべて観念でしかなかったのだ。
現実の闘いに挑むのか逃げるのか
ブログで宣言したのは、衆目の面前で勝利の姿を見せるためではなかったのか?

幾度見直しても影の薄れた自分の顔が、やっと見えだしたと思っ途端
こいつが宿命的にあんまりいい出来ではないことを併せて見定めた。
御蔭で今の俺は所謂余計者の言葉を確実に所有した。
君は解るか、余計者もこの世に断じて生きねばならぬ。
                   小林秀雄『X氏への手紙』

深夜、やっとPCを立ち上げる。
ブログを見て心配した友人のメールが何通か届いていた。感謝感謝。
人材紹介会社のページから、数社に応募。
自分の悲哀を乗り越えて頑張らねば...