苦闘と歓喜と

友人のMさんが我が家に来られた。
元々は彼のお母様と仕事のお付き合いをさせていただいている。
新事業の立ち上げの中で、大変なご苦労をされている渦中の人である。
あまりに過酷な状況を心配して電話をしたら、
先方からわざわざ遠い道のりを会いに来てくれた。
久しぶりに見る彼の顔は、思いのほか明るく安心した。
青年は苦闘の中で鍛えられ輝いていくものだ。
仕事の状況を聞きながら3時間余りの語らいに...
自分のかつての体験を通しながら、苦闘と歓喜について語る。
ベートーヴェンの生涯 (岩波文庫)

忍従、自分の運命への痛切な忍従。
 お前は、自己のために存在することをもはや許されていない。
 ただ、他人のために生きることができるのみだ。
 お前のために残されている幸福は、
 ただお前の芸術の仕事の中にのみある。
 おお、神よ、私が自己に克つ力を私におあたえください!」
ベートーヴェンの手記)

何のための学問か?
何のための仕事か?
何のための人生か?
それを自らに問わずして、漠然と生きるのは無益なり。
自らの使命を思索しながら
社会のために、他者のために生きる中にこそ
本当の幸福はある。
Mさんの成功を心から祈り、
去っていく車のテールランプを見送った。